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ー波乱ー35
「俺は帰るって言ったら帰るんだよっ! お前と居ると俺の方が今は抑えが効かなくなっちまうんだからなっ!」
望的には無意識に言ってしまった言葉なので、それが本音なのであろう。
そこにため息をつく雄介。
「望は何でそないなこと我慢するん? 我慢せんでもええやんか……俺等って恋人同士やろ? そしたら、素直にしたいとか抱いてくれとかって言うたらええんとちゃうの?」
望はその雄介の言葉を無視して病室を出て行こうとしたのだが、
「望……? 俺の方も本当のこと言うし、望の方も本当のこと言うて……。な、今の俺の状況、望だから分かってんねんやろ? 今は俺、そう簡単に動けないんやで……せやから、望のこと、すぐに追っかけることできへんねんって……せやから、今の俺の気持ちは望にここから出て行って欲しくないんやって……」
雄介はベッドの上に座ると、望の方に顔を向けて、しかも、頭まで下げる。
その姿を見た望は息を吐くと、頭を掻きながら仕方なさそうに雄介のところへ戻ってくる。だが、その望がいつも以上に笑顔に見えるのは気のせいであろうか。
「お前なぁー」
望は雄介のベッド近くまで来ると腰に手を当て、まるで親が子供を叱るような仕草をとった。しかし、その時に雄介の腕が望の方へ向けられ、雄介はそのまま望の体を抱き締めると、望は雄介の膝の上に座る形になってしまう。
「話、まだ終わってねぇんだから……離せよっ!」
「……のわりには腕に力こもってないやんか。本気で嫌やったら、この腕振り解くやろ?」
その雄介の言葉が事実過ぎて、言い返せないでいる望。
「ま、そういうこっちゃな。俺は素直な望も好きやけど、素直じゃない望も好きなんやで……。ホンマ、望のこと嫌いになった時なんかないんやからな。せやから、側に居って欲しいんやって……それ以上のことはもう贅沢過ぎて言わんしな。とりあえず、望……今の俺の望みは望に側に居って欲しいっていうだけや……」
雄介のその願いが望に通じたのかは分からないが、望は大きく息を吸い込むと、
「……分かってるんだけど、どうしても、俺の場合にはそう言っちまうんだよな。そう、嫌ってな。だから今日はさぁ、俺が嘘嫌だって言わないようにしてくれよな」
そう望は雄介の大きな腕の中で顔を俯かせ、恥ずかしそうに言う。
「そうやんな。望にそう言われないようにするわぁ」
雄介はそう笑顔になると、望の体に回している腕に力を込める。
この二人は体を重ねなくても、こうしているだけでも今は十分なのかもしれない。
だが雄介は思い出したかのように、
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