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ー波乱ー86

 そう真剣な瞳で言う雄介。 「俺だって……俺の性格をお前は知ってんだろ? そういうことは自ら言わないって」 「そりゃ……まぁな。 せやけど、せめて態度で示してもらわんと、流石の俺やって分からん事やってある訳やしな」 「ああ、それだったら……ゴメン……」  と望にしては珍しく雄介に謝ったようだ。  そんな望姿に雄介の方は微笑み、 「しゃーないな……今日は……」  雄介は望の事を自分の方へと引き寄せると抱き締める。 「久しぶりやんな……この温もり……」 「ああ……まぁ……」  その相変わらずの望の態度に、 「やっぱり、恋人同士なんやから、悲しい事も嬉しい事も全部全部俺にはちゃんと話してくれたらええねんけど。 ホンマにおれは望の事が好きやから、望の全てを知りたいって思うてんねんで……」 「お、俺だってな……お前と久しぶりに二人きりになれて、すっげぇ、嬉しいんだからな……だから、その……今は本気で照れ臭いんだからな」  そして望は今思っている事を雄介に打ち明けると望自ら雄介の唇へと唇を重ねる。  望は少ししてから雄介の唇から離れる。 「やっぱ……望自らキスしてもうらうとめっちゃ嬉しいわぁ。 ホンマに望が俺の事が好きやっちゅうのが伝わってくるしな。 な、望……ホンマに俺の事好きやって言うんやったら、今日はいつもとは違う事せぇへんか? いつも同じ事ばっかやとマンネリ化してまうんじゃないかと思うてな。 それに、いつもと同じやり方じゃあ、刺激も足らんようになってくると思うし……」  その雄介の言葉に流石の望も動揺を隠せないようだ。  確かにいつも同じような感じでは飽きてくるのかもしれないのだが相手が恋人なら十分過ぎるほど幸せに感じるのだから別にいいと言えばいいのかもしれない。 でも、やはり、いつもとは違うやり方にはちょっとは興味あるような顔をしている望。  だからなのか、その雄介の提案に望は頭を頷かせるものだ。 「ほなら、ちょっと待っておって……」  そう言い雄介は一旦望の事をベッドへと寝かせるとタンスの方に向かって何かを探しているようだ。  そして何かを持って雄介は再びベッドへと戻って来る。

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