そうぼそりと呟く雄介。 　そんな中、雄介は諦めたように何もない天井を見上げる。 　足は完全に治った。　いや正確には望の為に早く治したと言っても過言ではない。　それなのに病院の時とは違う態度に雄介は再びため息を漏らす。 　正確には雄介が退院してから、いつもの望と変わらない感じになってしまったと言った方がいいのかもしれない。 　病院に入院していた時にはあんなに甘えてきたのに、今は一人パソコンに向かってしまっている始末だ。 　まぁ、雄介がいる場所からでは望がパソコンで何をやってるかは分からないのだが。 　雄介は仕方なさそうに布団の中へと入る。 　今日は快晴になるくらいに晴れていた。　だから窓の外には星や月が見えている。 　雄介はそうのんびりと窓の外を眺めているとパソコンをキーボードを叩く音が止んだ。　そして電源が落ちる音もこの静かな空間では聴こえてくる。 　その直ぐ後だっただろうか？　急に望が動き始め床を怒ったように鳴らす音も雄介の耳には入って来ているようだ。 　しかし何か望怒るような事がパソコン上であったのであろうか？　だが雄介はその事を気にせず今度は体を天井の方へと向け天井を見上げる。 　きっと望も寝に来たのであろう。　ベッド直前で望の足音が止む。 「雄介！　お前はヤる気ねぇのか！？」 　と急に雄介は望に怒鳴られてしまった。 「……へ？ はい！？」 　望のそんな声にはてなマーク状態なのは寧ろ雄介の方だろう。　雄介はそんな事を言っている望の事を目を丸くしながら見上げてしまっていた。 　その雄介の視線に望は気付いてしまったのであろうか、 「あー……そのなぁ、だからだな……あー……えっーと……」 　さっきまでの勢いはどこに行ってしまったのであろうか？　という位、今度は雄介を前にして言葉を詰まらせてしまっている。　そして完全に雄介から視線を逸らして顔を赤くさせてしまっている望。 「あ……へ？ 何？　ホンマ……スマン……」 　そう言う雄介なのだが望が顔を赤くしたという事で望が何を言いたいのかが分かったのであろう。　その意味での謝りらしい。 「あ、あんな……望が怒ったような態度を取っておったから、まったくもって俺には分からへんかったんやけど……望が顔を赤くしたから分かったわぁ？」 　 雄介は半身を起こすと望がこの場から逃げてしまわないように望の手首を掴まえておく。 　その久しぶりの望の温もりに触れると雄介は微笑み、 「そうそう！　部屋に入って来た早々に望がパソコンなんかいじっておるから、俺の方がそんな気にならんかったって言うんか……望がその気やなかったら、今日はもうええかって思うとったんやけどな。　望って、ちゃんと俺の性格分かっとる？　自分で言うのも変なんやけど……俺は相手がしたくないような態度を取れば、別に無理にしたいとはもう思わへんようになってきたんやわぁ……せやから、望があんな感じやったから、ええかな？　って思うとったんやけど……そうそう！　まぁ、相手の同意が無ければええかな？　って思うようにもなってきたしな……せやから、望がそういう態度やと、お前がやりたいっていう態度には見えへんかったっていう事やんな。 それに、今日の望っていうか、仕事で疲れてそうやったしな。　それも考えると、俺は望次第って事なんかな？」