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ー波乱ー84
雄介は思い出したかのように、お皿をキッチンへ運んでいく。
ご飯を食べ終わった後、お皿を洗うのはいつも望の仕事だ。望が皿を洗っている間に、雄介がお風呂に入るという流れが、いつの間にか二人の日常になっていた。
雄介はキッチンにお皿を置くと、
「ほな、お風呂に入ってくるな」
「ああ……」
望が返事をすると、雄介はお風呂場の方に向かった。
キッチンに残された望は、一人でお皿を洗いながら、雄介が戻ってくるのを待っていた。
雄介がお風呂から上がる頃には、望は雄介が湯船に浸かっているのを知っているからなのか、皿を洗い終えた後、ソファでゆっくりとテレビを見ていた。
「風呂から上がってきたでー」
雄介は、ソファに腰掛けている望の背後から声をかける。
「ああ……」
相変わらず素っ気なく返事をする望。
「どないしてん?」
「別にー、ただ相変わらずお前は風呂から上がってくるのが遅いなーって思ってただけだ……」
「何……? 心配してくれてたん?」
そう雄介が嬉しそうに言うものの、望は雄介を睨み上げ、リモコンでテレビの電源を切ると、先に二階にある自分の部屋へと向かう。
「ホンマ、相変わらずなやっちゃなー」
ため息混じりにそう言いながら、雄介は一階の電気を消して、望に続いて二階へ上がっていく。
雄介にとって、望の家に来るのは本当に久しぶりだった。
初めて来た時のように、周りをキョロキョロと見渡しながら笑みを浮かべる。
望の部屋も久しぶりで、どこか懐かしい匂いがするように感じたが、それは気のせいなのだろうか?
雄介が望の部屋に足を踏み入れると、望は自分の机に座ってパソコンをいじっていた。
せっかく雄介が望の家に戻ってきたのに、入院していた頃とは違う望の態度に、雄介はため息をつくしかなかった。
この雰囲気では、きっといいムードにはならないだろう。雄介は望のベッドの上に仰向けで転がる。
静かな空間で、望が叩くキーボードの音だけが響いていた。
「やっぱ……さすがに今日もアカンか?」
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