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ー海上ー16

「そういう声を上げるっていう事は、めっちゃ気持ちがええって事やんな? やっぱ、望の体っていうんは……感じやすいって事なんやなぁ」  今日はいつもとは違うからなのか雄介の方も今日は調子に乗っているのかもしれない。  いつもの時に雄介がこんな事を言ってしまったのなら望が文句を言うに決まっているのに今日の望は文句さえもないのだから。  確かに雄介の言う通りで言葉には気持ちいいとかは言わないものの体では反応してしまっているのだから、その雄介の言う通りなんであろう。  寧ろ今日は望もその気だったからなのかトロンとした瞳で雄介の事を見上げてしまっているのだから。 「ホンマ、今日の望は嫌に積極的なんとちゃう? そういう瞳で俺のこと見とるって事は俺の事完全に誘ってるって事でええんやんな?」  その雄介の問いに望の方は親指を口に咥えて頭を頷かせる。  その望の行動に雄介の方は一瞬体を固まらせてしまっていた。  今日は雄介の方が望に対して結構意地悪な事を言っているのにも関わらず望にそんな態度を取られたら我慢出来なくなってくるもんだ。  雄介はそんな望の姿に愛おしくなってきたのか笑顔になると望の体を包み込むようにして抱き締める。 「ホンマ……今日の望……めっちゃ可愛いやんか……今日はどないしたん?」  その雄介の問いに望の方は何か諦めたような息を吐いて望の方も雄介の首へと腕を回すと、 「それ、お前は分からないのか?」  そう言いながら望の方は雄介の肩へと顔を埋める。 「お前の事が、本当に好きだから、信頼してるから……お前にだけ俺は体を預ける事が出来るんだよ……これで、俺の気持ち分かってくれたか?」  その望の言葉に目を丸くしたのは雄介の方だ。 しかし、いつもとは違う感じの望にどう反応したらいいのか? っていうのが今日の雄介には課題なのかもしれない。  逆にそんな望にパニックになりそうになっているのは雄介の方なのかもしれない。 そういつもの望ならもう攻略みたいなのは分かっているのだが逆に素直な望の方は未だに雄介は分かっていないからだ。

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