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ー海上ー23

 そう真っ直ぐに恋人である望の瞳に合わせる雄介なのだが、望の方は恥ずかしいのか視線を外してしまっていた。 「なぁ、人の名前呼んでおいて、それは無いやろ? 望がそういう性格やっちゅうんは分かっておんねんけど……なんかなぁ、そうさせると寂しい感じがすんねんけど」   そう雄介は望の頰を優しく撫でながら切なそうな瞳で望に視線を送る。  それを聞いた望の方は深呼吸をすると雄介の視線に合わせ、 「あのな……好きだから……恥ずかしくて、恋人の顔なんてまともに見れる訳がねぇだろうが……俺の方は未だにお前の顔見るのは恥ずかしんだからな」  そう言うと望も雄介も頰を両手で包み込み直ぐに視線だけでも逸らしてしまう。 「なんや……そういう事なんかいな……」   雄介は望の言葉を聞いて安心したかのような表情をするのだが、望の方は、 「そういう事って……どういう意味なんだよ」 「俺の事嫌いだからとかやなくて……恥ずかしいから見ていられないって事やねんやろ? せやから、嬉しいなぁーって思うてな……」 「それは今さっき……俺がお前ん事を……」 「好きやからやろ?」 雄介は望の言葉を遮るように多分望の口からは言えないであろう言葉を先に言う。 「あ、ああ……そういう事だ……」  雄介に言いたい事を先に言われてしまい望の方はこう気まずそうに雄介から視線を外すのだが、 「望……ホンマに俺はお前ん事が好きや……せやから、望も安心してぇな……。 もっともっと、望は俺の事好きになってもええから、人を好きになるってええ事やろ? それについては俺が教えていくし、望はな……自分にもっと自信持った方がええよ」  望の方はそう驚いた表情で雄介の事を見上げる。  その話はこの前スキー場に行った時に和也とは話したような感じはするのだが、まさか雄介が知っているとは思っていなかった事なのかもしれない。 あの時の雄介は怪我をして寝かせておいたのだから。 「ちょ、それ……何でお前が知って……」 「あん時……みんなに寝てろって言われておったんやけど、ホンマは痛みで起きておったんや……せやから、みんなでそんな話しておったのは知っとるんやけどな」  更に望は今の雄介の言葉で顔を赤くする。 あんな過去の話をするんじゃなかったと今更後悔しても遅いのだが。

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