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ー海上ー25

「ぃ……やぁ……」  そう恥ずかしそうに涙目で訴える望。 「そういう事なんか?」  再び雄介の方は切なそうな表情をする。  そんな姿が望にも見えたのであろか? 「……んな顔すんなよな。 俺のも方も切なくなってくるだろ?」 「へ? あ、スマン……望にもそんな姿見えてもうたんか? まぁ、そこは気にせんと集中して……」 「なぁ……なんかお前ってさ、俺に対して抑えているもんがあるんだろ?」  その質問に雄介は暫く考えてから、 「いーや……そんな事はあらへんで……」  とは言うものの完全に望の視線から外して言ってしまっている雄介。 「嘘なのはバレバレなんだよ。 嘘じゃなかったら……普通は視線は外さないもんだろ? 前にそんな事言わなかったか?」  そう真剣に言う望に対して雄介の方はため息を吐くと、 「……望に嫌われたくなかったから……今までそんな事言わへんかったけど、言っても嫌いにならへんか?」  そう年を押すかのように雄介の方に視線を向けて言うのだ。  もしかしたら雄介の中でそんな事を望に言ったら嫌われてしまうとでも思っているのかもしれない。 「大丈夫だ……俺はどんな雄介だろうと受け止められる位好きなんだからな」 「ホンマに!?」 「ああ……」  そして雄介の方は覚悟したかのように真剣な眼差しを望の方へと向けると、 「ん? あんな……やっぱな……男としてこれだけのグッズに囲まれておると、使ってみたくなるっていうんかな? せやから、使うてもええかな? って思うとるんやけど……」  望はそんな雄介にため息を漏らす。 「なんやねんって……そのため息は……俺の方はホンマに本気なんやぞ……」 「今のため息は『なんだ……そういう事か』っていうため息だ」 「……って事は? 望はここにあるグッズを使ってもええって事なんか?」 「あ、えーと……それは……」  そう改めて言われると今までは頑張って素で話をしてきた望だったのだが急に顔を赤くし、 「だからだな……その……」 「別に無理して言わんくても分かるから。 ホンマありがとうな……俺の事好きになってくれて……」  雄介の方はそう言うと望の体をギュッと愛おしそうに抱き締める。 「ほな、今日はとりあえず使ってみよっ! それに、望の親父さんがくれたんやし、ほんで、良かったら……今度からも使うって事でええやんか」

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