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ー海上ー26

「分かったよ……それは……お前に任せるからさ」  望からしてみたら、こんな風に素直に言うのは顔から火が出そうな位恥ずかしく布団の中へと潜りたい気分なのかもしれないのだが、どうやら今日はそこは我慢して枕に顔を埋めながら言っている。  だが、やっぱり望も雄介の事が好きなのだから、そこは恥ずかししくても雄介にはちゃんと伝えたいとは思ったのかもしれない。 「望……ありがとうな……好きやから……ホンマに望の事気持ち良くさせて上げたいだけなんやって……」  雄介はそう言いながら望の事を見つめる。 「大丈夫だ……お前だから……俺の体を任せる事が出来るんだからな」 「今日は中断ばっかっでスマンな……今からが本番な」  雄介はそう言うと、さっきからベッドの上に置いてあった玩具を手にする。 「なぁ……望の中ではどこが気持ちいいん? 言うてくれたら、そこメインに気持ちよくさせるしな」  普通の会話でも普通に答えるのがやっとなのに望にそんな事が普通に返せる訳がない。 「そ、そんな事……言える訳な……」  望が最後まで言い切らないうちに雄介は望の言葉を遮ると、 「望は俺の事好きなんやろ? それなら、望の本音が聞きたいんやって……」  再び切なそうな表情を浮かべる雄介。  その雄介の表情に望は気付くと再びため息を吐く。 「お前な……その顔はズルすぎなんだって……なんでお前はそんなに俺に優しいんだよ」  そう言いながら望は雄介の肩へと腕を回すのだ。  どうやら望の方は今自分の顔を雄介に見せたくはなかったのであろう。 「今の俺はお前に何を言われても平気だ……だから、そんなに不安そうな顔すんじゃねぇよ。 俺はお前に何を言われようと嫌いになったりしないから大丈夫だ」 「ああ、ほんなら、今日は覚悟してな」 「ああ、頑張ってみる」  望は少し腕の力を緩めると雄介の顔を愛おしそうに見つめる。  二人の視線が合わさった時、雄介は望の瞳に吸い込まれるように唇を重ねる。  雄介は望の存在を確かめるかのように何度も何度も唇を重ね望の赤い舌を見つけると絡めたかと思えば音を立てて吸い上げるのだ。

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