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ー海上ー27
「望はどないな事して欲しいん? 早く言うて欲しいねんけど?」
雄介はそうわざと切なそうな表情を望に見せながら瞳を見つめる。
望の方は暫く黙っていたのだが、
「あ……だ、だから……そのな……」
やはり望の口からは次に出てくる言葉が見つからないようで望の方はもう完璧に顔を真っ赤にしながら雄介から視線を逸らしてしまっている。
「望やから、無理せんでもええけど……たまには望の口から聞きたい時やってあるんやで……」
「……わ、分かったよ……俺の口から言えばいいんだろ?」
「言えるんか?」
雄介はこれだけ長く望と一緒にいるのだから望の性格は分かっているつもりだ。
それに、さっき雄介が望の事を切なそうな表情で見ていたのは逆に心配で切なそうな表情をしていたのだから。
「だから……さっきお前が言ってた……な、なんだっけ? アレ……使わないのか?」
「アレって何? アレだけじゃあ、分からへんねんけど……?」
そこは雄介自身分かっているようなのだが、わざと望に聞いているようだ。
「あ、だからだな……」
ますます、望の顔が赤くなってきている。
今日の雄介は望に少しばかり意地悪な事を言っているようだ。
「なんやねん?」
そうせかすように望に問いかける雄介。
「ば、馬鹿っ! だ、だから……玩具を使えって!」
腕で顔を隠すと、あまりにも焦ったさに望の方はその言葉を一気に言うのだ。
その望の言葉に雄介はクスリとすると、
「俺のやなくて……ホンマに玩具でええやんな?」
その雄介の言い方に望はチラリと雄介の顔を見上げる。
「な、今……雄介……なんて言った?」
「ん? 俺のよりか玩具でええんか? って……」
一瞬、望の方は雄介の言葉にムッとした顔をしたのだが、
「あのな……俺もその……雄介の方がいいに決まってるじゃねぇか……だけど、今日はお前が玩具とか使いたいって言ったんじゃねぇのか?」
その望の言葉に雄介の方は更に安心したような表情を浮かべると望の体を優しく強く抱き締める。
「ん、まぁ……確かにな。 ホンマ……俺って、望に愛されてるって感じがするわぁ」
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