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ー海上ー43

「本当に今まで色んなことあったよな? 俺たちがここまでになるまでさ」 「まぁな……ってか、雄介の方は怪我ばっかしてたしな」 「ホントだよ。 雄介って運が悪かったりしてな……」 「逆なんじゃねぇのか? だって、怪我した時には俺たちがいるんだからさ」  そう言いながら優しく微笑む望。  そんな表情を運転している和也からしてみたら見える訳もなく。 「まぁな……でも、実際、望が雄介のことを手術した回数は?」 「四回中二回かな?」  望の方は四本指を立てて指折り数えてみる。 「そんなに少なかったのか!?」 「最初の頃と雪山で遭難した時だけだ。 そうそう! 雄介が二回目に運ばれてきた時には新人さんが担当していた訳だし、飛行機の時には向こうの病院でってことだったから俺の方は手出し出来なかったしよ」 「そういや、ハイジャックに遭った時、何があったんだよ。 あん時の話、俺聞いてねぇんだけど……」 「まぁ、あの後も色々と忙しかったし、確かにお前とその時のことを話す機会なんてなかったからな」  望の方はあのハイジャックがあった時のことを話し始める。 「そうだったのかー。 俺たちがハイジャックのことを聞いたのは実はあの後すぐにホテルに入ってからだったんだよな。 しかも、俺たちの方は泊まりを決め込んでテレビを点けた後にテレビ画面にテロップが流れてさ、俺の方はそれを見て焦って即刻ホテルの方を飛び出したようなもんだったんだけど。 しかし、あの時は俺は散々だったんだぜ。 あの時、持っていた金全部パァッになっちまったんだからな……だから、給料日まで裕実に借りたっていうオチだったんだけどさ」 「いずれにしても、確かにあの日は大変だったって事だったんだな」 「あ! そうだ!」  和也の方は急に何かを思い出したのかハンドルを叩くと、 「今度さぁ、また、みんなで旅行かねぇか? 夏だから海に行きてぇんだけど……」 「海か……また、雪山の時みたくならないといいんだけど」 「流石に海では遭難にはならねぇだろ? 海水浴場っていう所はそんな深い所までは行けないようになってるしな」 「なら、いいか……たまには羽伸ばさないとだもんな」 「ん? 望にしては珍しいよな? 何で行く気満々な訳?」 「スキーよりか水泳の方が俺は出来るんだよ」 「スキーよりか出来る!?」 「お前はそこを突っ込むのか? 何を疑ってるんだよ」 「望君! そこは何も俺の方は疑ってないんだけどなぁ、望こそ、何でそこに反応するのかな? って感じなんだけど?」

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