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ー崩落ー83

 次から次へと言葉がポンポンと出てくる歩夢。  本当に屁理屈ばかり言ってくる歩夢に、和也は頭を悩ませていた。  和也が歩夢の言葉で頭を悩ませていると、望もそんな和也にため息を漏らす。そして、裕実の方に行ってしまった歩夢は、今度は裕実に何やらちょっかいを出し始めたようだ。 「前にも言ったけどさぁ、裕実さんは梅沢さんなんかより僕の方にしない? そしたら、梅沢さんなんかより気持ち良くさせてあげることができると思うんだけどー」  そう言って、歩夢は裕実の耳元で囁く。 「僕……裕実さんの可愛い声、聞いてみたいな。だって、元がそんなに可愛い声してんだもん。抱いてる時の声はもっと可愛いんじゃないかと思ってね」  歩夢はそこまで言うと、裕実の耳に息を吹きかけた。 「ふぅ……ん……」  その歩夢の行動に、思わず声を上げてしまった裕実。  確かに小さな声だったが、裕実の周りにいた颯斗や望、そして和也にもその声が届いてしまったようだ。 「お前なー! 今、俺の恋人に何をした!」  和也は座席から立ち上がり、腕を組んで歩夢に向かって睨みをきかせ、歩夢の前で仁王立ちする。 「別に僕は……梅沢さんがそんなに怖い顔をしても怖くはないけどね。むしろ、梅沢さんの方が大丈夫かな? って思うんだけど……」  意味ありげに和也に言う歩夢。歩夢は顔を上げて和也を見つめるが、まだ余裕がありそうだ。  その言葉に、今まで睨みをきかせていた和也だったが、もうすっかり頭に血が上ってしまい、何も考えられなくなっている。首を傾げながら歩夢の言葉を待っている。 「何!? 全然気付いてないの?」  歩夢はクスクスと笑い、 「梅沢さんが大丈夫かな? って思った理由、教えてあげようか?」  まだ答えがわかっていない和也に対し、歩夢はわざと答えを焦らしているようだ。  もうここまで焦らされてしまった和也は、自分で考えた方が早いとでも思ったのか、再び腕を組んで考え始めた。  そんな時、和也の隣にいる望が和也の服を引き、 「お前なぁ、歩夢に負けてるみたいだけど、あのさ……俺と裕実が頼れるのはお前しかいないんだからさ、もう少し冷静になれよ……そしたら、答えが出てくるんじゃねぇのか?」 「あ、ああ! おう!」  和也は望に励まされたおかげで、急に元気を取り戻したようだ。

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