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ー崩落ー96

「これを見て下さい」  そう颯斗に言われて渡されたのは、テレビが付いている携帯だ。 「今、ほとんどのチャンネルが、このトンネル事故のことをやってますよ。救助隊の方々も今作戦を立てて外から穴を掘る作業に向かったみたいです」  颯斗が言っている通り、テレビではトンネル事故のニュースが流れている。  そこには、救助隊の人達が一生懸命に救助に当たっている姿が映し出されていた。 「やっぱり、雄介達来てくれていたんだな」 「本当だよな。こうやって雄介って色んな人を助けてるんだな」 「本当……人を助けるって言っても、色々な方法で助けることが出来るんだな。ってか、雄介……流石に俺達がこのトンネル事故に巻き込まれているっていうのは知らないんじゃねぇのか?」 「多分な。俺達は旅行に行くとは伝えてはあるんだけどな」 「助けてビックリ玉手箱ってか!?」 「そうなのかもしれねぇよな? でもさ、例え俺達が要救助者じゃなくても、雄介達はこうやって真剣になって助けてくれるもんなんだな……」 「雄介ってやっぱり、かっこいいのかもなー。望には相応しい男っていう訳だ」 「お前に言われなくても、雄介のカッコよさは十二分に分かってるよ」  望はその言葉の時、和也から視線を逸らし顔を赤く染める。  そんな事を話していると、望の前に歩夢が来て、 「兄さん! さっき、梅沢さんが兄さんのこと好きだって振った時の事教えてよー!」  そう歩夢は頬を膨らませながら望に歩み寄る。 「それ……? 和也に聞いてみたらどうだ? 和也も知ってるしな」 「ちょ、望! そりゃねぇだろー! 何で俺が過去の嫌な思い出をコイツに話さなきゃなんねぇんだよー!」 「梅沢さん……その話、私も興味あるんだけどな」  そう話に入ってきたのは颯斗だ。 「うっわぁー! どっちにも話したくない奴等……って、マジ無理! って事で俺は裕実をお手伝いしてきまーす!」  和也はすかさず立ち上がると、未だにお菓子配りをしている裕実の元へと向かう。 「くっそー! アイツ上手く逃げやがったな……俺はこういう話すんの苦手な事知ってるくせにさ」

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