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ー崩落ー118

 それを雄介にこそっと言われ、その場で歩みを止めてしまう望。 「ほな……やっぱり、そこはできへんのやろ? それやったら、俺が運転するし」 「そうだな……雄介に運転任すわぁ。俺が運転したら、きっと、なかなかそこに入ることができないしな」 「ほな、車の鍵貸して」 「ああ」  雄介は望から鍵を受け取ると、地下駐車場に置いてある望の車の鍵を開ける。  さっきとは逆で、雄介は運転席へと座り、望は助手席へと座る。 「何か変な感じするな……久々に助手席だしよ」 「そういうもんなんか?」 「……ああ」  雄介は望と話しながら運転を始めた。  地下駐車場を出てしばらく走ると、ホテル街へと入る。とりあえず車が止められそうなホテルへと入るのだ。 「望、着いたで……」 「あ、ああ……」  こういった所に入るのは久々な二人。雄介は相変わらず堂々としているが、どうやら望は緊張しているようだ。  そんな望の様子に、雄介は、 「嫌なら無理して行かんくてええねんやで……」  その雄介の言葉に望はため息をつき、気持ちを切り替えたのか、 「お前さぁ、前に言っただろ。優しすぎるんだって……こういう時、どうするって俺言ったっけ?」  望は雄介を挑発するかのように上目遣いで見上げ、雄介の頬を人差し指で突くのだ。  それを聞いて、以前の言葉を思い出した雄介は車から降りて、助手席のドアを開け、望の手を取るとホテルへと向かう。  そして部屋に入ると、雄介はいきなり望をベッドの上へと乗せる。 「ホンマに今日はええやんな?」 「何度も聞くな……もう、ここに来ちまったんだから……そりゃ……やることは一つしかねぇだろ?」  流石にそこはストレートには言えない望は、雄介から視線を逸らす。 「ほな、遠慮なく俺がしたいようにしたらええってことやんな? 望が嫌がっても今日はもう止めへんで……」  雄介はそこまで言うと、望の両手をベッドに押しつけ、耳を舐めようとしたが、 「ちょ、雄介! そこはストップ!」 「……へ? なんやねんって……今、俺の好きなようにやってええって言ったやんか……」  急に望にお預けを食らった雄介は嘆くように言う。 「そ、それは、べ、別にいいんだけどよ……その前に風呂に入らせてくれねぇか? 俺が綺麗好きなの知ってんだろ?」

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