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ー過去ー19

 和也は一旦呼吸を置くと、 「……ってかさぁ、あの後、俺がやけになって望に告白したら案の定、俺達の関係は一回崩れただろ?」 「まぁ、確かにそうだけどさ……」 「……で、俺の方はその事を反省して、望と雄介の間に入って二人の仲をもったって訳だ。望と一緒に働ければ望とは親友のままでいいって思ったからな……。まぁ、もうそこは過去の事だから今なら言えたってところかな?」  その事を望に話した後、和也は裕実の方に視線を向けると、 「人の幸せを望む者には、自分にも幸せが訪れる。ってな訳で、俺には裕実っていう恋人が出来たって訳だな。そして、その言葉の通りに自分にも幸せが訪れたって事だよな」 「確かにそれはそうだよな」 「そういう事だったんですかー。僕の方は春坂病院で働く前の事は知らないので、望さんと雄介さんがどう知り合って付き合ったのか? っていうのを知らなかったので、もし良かったら話してもらえませんか? それと出来ればなんですが、望さんは女性と付き合った事があったのに、何故、男性の事を好きになったのかも教えていただきたいんですが……。和也に言われたんですよ。僕は何故、女性と付き合ってないのに、いきなり男性、いや雄介さんや和也を好きになったのか? って……僕が男性の事をいきなり好きになるって、おかしな事なんですかね?」  今まで和也と望の会話を黙って聞いていた裕実だったが、望と雄介との話を聞いて、さっき和也に言われた事を思い出したのだろう。突如、望へと問いかけた。 「人を好きになるっていうのは自由なんじゃねぇのか? いきなり同性の事を好きになる人も居れば、異性とまずは付き合ってみて違うって思う人もいるんだろうしさ……。一番分かりやすいのは性同一障害の人達だな。初恋から同性が好きだったって事が多い訳だしさ。まぁ、性同一障害の人達は先天性の場合もあるけど、生まれてからおかしいな?と思う人もいる訳なんだろ?だから、俺や和也みたいに女性と付き合ってから違うって思う人も居るって事なんだろうよ。そう、だから、裕実みたいに最初に男性の事を好きになるって人も居るって事にもなるんじゃねぇのかな? そこは別に気にする所じゃねぇよ。な、和也……お前は何を勘違いしてるんだろうな? だって、その辺りの事は勉強してきたんじゃねぇのか?」 「んー、だけど、俺は裕実に『何で、いきなり男性を好きになったんだ?』って聞いた時に、裕実が今の望みたく冷静に答えてくれれば良かったんじゃねぇのか?ってか、あの時、逆に大声を出されてビックリしたのは俺なんだからな。寧ろ、俺が悪い事を聞いたような感じだったしな。どうも、俺としてはそこが気になったってところっていうのかな?だけど、その事に関しては裕実が話したくなった時でいいって言ったんだけどな。だから、今は望と雄介の話だよなぁ、裕実」

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