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ー過去ー78
例え和也や雄介が落ち込んでいたとしても、望の場合、絶対にその二人にはそんな事はしないだろう。
「あのさ……家ではそうだったのかもしれないんだけど、ここでは寛いでもらっても構わないんだぜ」
そう望は裕実に笑顔を見せるのだが、
「寛いでいいと言われましても……」
「まさか、それも知らないのか? 裕実はさ、自分の家でとか和也の家ではどうしてるんだ?」
その望の質問に何故だかキッチンから和也が走って来て、
「何々? 俺の事呼んだか?」
「だぁー! もう! お前は呼んでねぇから! あっちに行って飯作ってろよ! 今はな、うるさい和也がいないから裕実と一緒にゆっくりと静かに話してるんだからさ。 マジでお前の事なんか呼んでねぇし!」
望は和也の背中を押すと、和也をキッチン方面へと行かせる。
「チェッ! 分かったよー」
と軽く舌打ちすると、キッチンへと戻って行く和也。
うるさい和也の事を何とかキッチンへと戻す事が出来た望は、裕実の方に体を向けて、笑顔を向ける。
「家でも正座してましたよ」
「へ? マジで正座してテレビとか見てるのか?」
「はい」
望はその裕実の言葉に『マジかよー』という表情をすると、
「じゃあさ、和也の家ではどうなんだ?」
「和也ん家のは段が無いソファなんで、足は伸ばしてますよ。 初めの頃は正座してたのですが、和也が足を伸ばせってうるさかったのでね」
「なら、ここでも和也の家と同じ事をやってもいいんだからな。 確かにウチのソファには段差があるソファだけどさ、んー、なんて言うのかな? 自分が一番楽な体勢にしていいんだからな。 体を楽にしていいって事だ。 そんなに肩に力を入れずに肩から力を抜いて座っていいんだからよ」
「分かりました。 ありがとうございます」
裕実の方はやっと体から力を抜いたのか、体をソファへと預けるのだ。
その裕実の姿に望は微笑むと、望の方も裕実に笑顔を向ける。
「……ってか、和也って、そんなにいいのか?」
本当に望は話の切り替えが下手なのであろう。 そうさっきとは真逆な事を裕実に問い始めているのだから。 だが、そんな望に別に気にする事もなく裕実は、
「はい! 凄く優しいですからね」
「俺にはその理由が分からないんだよなぁ」
「望さんは和也と長年一緒にいて友達の関係だからだと思いますよ」
「……友達だから?」
裕実のその意外そうな言葉に、望の方は裕実に聞き返す。
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