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ー過去ー90
「ありがとうな……。 大丈夫だよ……望と雄介なら、お前にとっても親友になれると思うぜ。 まぁ、もしかしたら、お前の場合には望が親友になれるのかもな。 だって、最近は望とばっか話してんじゃねぇのか?」
「別に……望さんが話して来てくださるので、僕は答えているだけですからね」
「しっかし、望にしては珍しいんだよなぁ? 自分から声を掛けて会話するって事がさぁ。 きっと、お前にだけなんだと思うぜ、望も裕実に心を完全に開いてるって感じはするのはな。 何か望の事で秘密的な話してきたら教えてくれねぇか?」
和也は裕実に向かって手を合わせると、祈るように言った。
「そんな事は流石にダメですよー! 望さんがいいって言うんでしたらいいとは思いますけどね。 それこそ二人だけの秘密なんですから、バラすのはきっとダメでしょうね。 それで分かりましたよ! 望さんが和也に何も話さない理由が! そうですよ! 和也はそうやって口が軽いからなんだと思いますけどね」
「そうか……?」
「自覚がないんじゃあ困ったもんですよ」
「……ってか、何か俺が今まで口を滑らせた事があったか?」
「……多分」
「多分って事は、無いかもしれないって事だよなぁ?」
「そうなんですかね?」
「ハッキリしねぇやつだなぁ。 まぁ、多分、俺の中では無いと思ってるけど……。 まぁ、多分さぁ、普段から俺の行いっていうのが悪いからそんなイメージがあるのかもしれないよな? ま、いいけど……気にするような事じゃあねぇしな」
「……ですね」
裕実は和也に向かって軽く微笑むと、
「いい加減、寝ましょうか?」
「そうだな。 今日はやっぱり、そんな気分になれねぇし……寝るのが一番って事だよなぁ」
「ですよ……。 僕の方もそんな気分じゃあありませんからね」
裕実はそう言うと、欠伸をした。
「……って、お前の場合にはいつもそうなんじゃねぇのか? 本当のところ、俺とそういう事するの嫌いだとか!?」
和也は半身を起こして裕実の顔を見つめた。その表情は一見ふざけているようにも見えるが、どうやら目は本気のようだ。
「き、嫌いじゃないですよー」
「じゃあ、なんで……あんまりお前から求めないかなぁ?」
「それは前にも言ったような気がしますけどねぇ。 そりゃあ、自分から求めるのは恥ずかしいから嫌っていうのもありますけど、それ以上に和也に依存してしまうって事の方が怖いって言いませんでしたっけ? だから、自分の中ではセーブしているだけですからね」
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