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ー過去ー92
朝から望は和也に土下座までされて謝られ、ため息を吐いた。
「分かったよ……。お前達も恋人なんだから、たまにはイチャイチャしたい時だってあるんだもんなぁ、とりあえず、昨日、和也がやった事については忘れてやるが……裕実同様に同じ事をまたしたら?」
そこまで言った望だったが、何故かそこで止めてしまう。
「ん? おかしいな? 俺が裕実同様ってのはおかしくねぇ?」
望は自分でそう言って、何かおかしい事に気づいたのか首を傾げていると、和也の方はそっと顔を上げて言った。
「そこは、望が気にするようなところではないんじゃねぇ? 俺と裕実との間の約束事なんだからさ……」
「ん? んー、まぁな……。とりあえず、和也! 二度とそんな事するんじゃねぇぞ!」
「分かった……もうしねぇよ……そこは絶対に約束する」
「じゃあ、もういいや……俺の方からももう言う事なんかねぇしな」
望はそう言うと再びキッチンへと体を向けた。
それから裕実は和也に近寄り、言った。
「和也ー、やっぱり、嘘はいけないですよ。でも、今日の和也は本当の事を望さんに伝えたのでいいんですけどね。悪い事をしたのに、それを告白したんだったらスッキリとしますでしょうからね」
「お前も言うようになったなぁ」
「昨日、望さんにも同じ事言われたばかりですよ」
「そっか……。それ位じゃあ、俺達は怒ったりしねぇから、これからもガンガン言ってくれても構わないからな」
「……って、和也……。今日の和也は怒られている身なんですから、僕にそんな事を言える立場ではないですよねぇ?」
「はい! そうでした……」
「本当に本当に! 二度とあんな事しないで下さいよ! 今度したら、僕は本当に和也と別れますからね!」
「分かってる。 もう二度としねぇよ」
その和也の言葉に裕実は笑顔を向けた。その頃にはどうやら朝食が出来たようだ。そう、望はテーブルへと料理を運んでいた。
「望さん! 僕も手伝います!」
「ああ、ありがとうな……」
望は裕実に笑顔でそう言うと、今度は和也の方に顔を向けて言った。
「和也も手伝えよ」
「ああ、そうだったな……ゴメン」
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