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ー過去ー163

 流石の望も、その雄介の言葉に顔を赤くし、雄介の事を睨み上げるのだ。 「そないな顔しても、今日は俺の言う事を聞いてくれるって望が言うてくれた事やろ? とりあえず、今まで我慢しておったんやし、それ位はサービスしてもらわんとな」  ムカつく位に雄介が言いたい事は分かる。 もし望が雄介の立場なら、そう思うのかもしれない。 それに、こんな意地悪な雄介もどんな雄介でも望は好きなのだから、もう喧嘩みたいなのはしたくは無いと思っているのであろう。  望は何か心の中にあるものを吹っ切ったのか、先程よりも柔らかそうな表情をし、雄介が言っている玩具を手にすると自分の中へと入れていく。  流石に久しぶりに望の中に異物を入れる行為で、例え雄介のモノより小さな物であっても最初というのは痛くて苦しいもんだ。  望はゆっくりと息を吐きながら、体から力を抜き玩具を自分の中へと入れていく。  そんな中、雄介はそんな望の様子をベッドの上でうつ伏せの状態で見つめていたのだが、望の様子が気になって望の顔の方へと視線を向けると、 「望……大丈夫か?」  そう心配そうな顔をしながら言葉を掛ける。 「大丈夫……だからっ……今日はお前の言う事を聞くって……約束したからな……」  望は雄介にそう笑顔を見せながら、まだまだ痛そうな表情を雄介に見せてしまっているのだ。  そんな望の様子に雄介はため息を吐くと、 「やっぱ、まだまだアカンかったかな? 流石の俺も望が痛そうな顔見てられへんわぁ……。 望……ゴメン! やっぱ、普通にしよっ!」  雄介はそう言うと起き上がり、望の方へと笑顔を向ける。  だが望の方はため息を吐き、 「お前っていうのは本当に優し過ぎなんだよ。 これ位の事は平気だから、続けさせろ……今日はいつもと違うお前を見たいからさ」  そんな望から誘うような言葉に、雄介は望に向かって笑顔を向け、 「せやな……。 俺って、望の言う通りなのかもしれへんわぁ。 でもな、やっぱ、ダメなんやって……望にそないな顔されると俺が相当意地悪な事してるみたいで、めっちゃ望に罪悪感があってなぁ」 「もう、いい……。 なぁ、雄介……俺はお前の事が好きだ。 だから、俺に遠慮するって事はしなくていいんだからさ。 まぁ、自分がしたいようにしてくれたらいいし。 俺はどんな雄介でも好きなんだからよ……だから、後はお前に任せるよ」

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