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ー過去ー175

 雄介は両手で望の体を抱き締めると、 「誰だって温もりっていうのはあるやろ?」  そう普通に答えてしまう雄介。  その雄介に言葉に望は頰を膨らませて、雄介の顔を見つめると、 「お前は馬鹿か……」  そこまで言うと、望はひと息吐き、 「確かに人間には温もりというのがないと生きてないのと一緒だから当たり前なんだけど……恋人の温もりっていうのは特別だっていう事を俺は言いたかっただけなんだよ」  そこまで言うと望は雄介の額へとでこピンを喰らわす。 「痛ったー! そういう事だったかいな」  まだまだ望の言葉が少し足りなかったのか、雄介からしてみたら今日の望にはいつも以上に幸せを感じているようだ。  いつもの望だったら雄介にこんな風にボディタッチや攻撃なんかして来ない。 だが今日の望というのはこういつも以上に親しみがあると言った方がいいだろうか。 「まぁ、ええわぁ。 ほな、今日は何回戦いく?」 「なら、雄介が満足って言うまでな」 「なんやねんそれー。 ほんなら、俺の方はもう満足やで……」 「嘘吐くな……十分過ぎるほど、お前のソレが俺の股に当たってんだけど……」 「バレてもうてたか。 ん、まぁ……そういう事やって……」 「まったく、そういう事……じゃねぇよ。 しっかり勃たせておいて……まだまだなんじゃねぇのか?」 「いんやぁ、俺の方はもう平気やって言ってんで……勃ってるんだから、立派な証拠なんやしな。 何? 望はまだなんか?」  そうストレートに聞いてくる雄介に対し、望の方は頭を項垂れてしまうのだ。 「そういう意味じゃなくてさ。 まだって言ってるのは、普通、一回イったんだったら、一時間位は空けねぇと、無理だっていう意味なんだよ! まだ、三十分位しか経ってねぇんだからな」 「アホかぁ……目の前に好きな奴がおったら、直ぐにでも勃つに決まっておるやろー。 ん? 望はそんな感じじゃあないんか?」  その雄介からの質問に逆に心配してしまう望。 確かに雄介の言う通りなのかもしれない。 普通、目の前に好きな人がいたら『やりたい』と思うだろう。 「俺が変なのか?」  そう真面目に聞いてくる望に雄介は、きっと今の雄介からの質問を間に受けてしまったのだろうと思い、 「あ、いや……別に……そういう事やなくて……。 ま、人それぞれって事やんな! そうや! 人それぞれやって! 勃ったるする事ってなぁ」  何とか誤魔化しながら雄介は望の様子を伺っているようだ。

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