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ー天使ー11

 二人は話を終えると同時に食事を済ませ、席を立って台所に食器を置いた。  それに続くように琉斗も立ち上がり、自分の食器を台所に運んでくる。 「琉斗も食べ終わったみたいやし、ほな、行くか」 「ああ、そうだな……」  雄介は琉斗を抱き上げ、三人で望が運転する車へと向かった。 「あー、さすがにチャイルドシートはまだないしなぁ。ほな、琉斗は俺の膝の上な……」 「うん!」  雄介が琉斗を膝の上に乗せると、望は車を走らせた。  望は雄介が働いている消防署の前に到着すると、 「この消防署の裏にあるんやで……」  雄介がそう言い、望は消防署手前の道を左に曲がった。 「なんだよー、こんな近くにお前の甥っ子の幼稚園があったのかよー」 「まぁな……せやから、たまに覗いてたりしとった。たまに覗くとな、外で遊んでる琉斗と目が合ったりして、琉斗は俺のこと自慢したりしとったけどなぁ」 「そうなのか……」  望は幼稚園の庭にある駐車場に車を止め、三人は一緒に車を降りた。  雄介は琉斗の担任に声を掛け、彼のことをお願いする。 「おはようございます。今日から俺か……俺の隣にいる吉良望が琉斗を送りに来ますので、よろしくお願いしますね」  そう話し終えると、雄介は望とともに、琉斗を幼稚園まで送ることになった経緯を担任に説明し始めた。 「分かりました。では、琉斗君のこと、お預かりいたしますね」  琉斗の担任は優しい笑顔でそう答えた。やはり子ども相手の仕事をしているだけあり、その笑顔には安心感があった。  望と雄介もその笑顔にほっとし、幼稚園を後にする。  一日でも二人きりで過ごす時間がないと、久しぶりに二人だけの時間が持てたように感じられた。 「なぁ、望……昨日は何で下のソファで寝てたん?」  雄介の質問に、望は思わず車を止めてしまいそうになった。

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