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ー天使ー10
「望兄ちゃん! 先に下に行ってるね!」
「あ、ああ……」
やっぱり琉斗はしっかりしているなと思う望。
望も着替え終えると階下へと向かう。
すると、さっき雄介が言っていた通り、もう朝ご飯が出来ていた。
「スマンな……簡単なご飯で……トーストに目玉焼きやけど……」
「あ、ああ……まぁ、いいんだけどさ……」
望は席に着くと、
「いただきます」
そう、いつものように言うのだが、今日は琉斗を意識してか、気持ち大きな声で言っていたのかもしれない。確かに、いつも言っていることなのだが、琉斗の前では必ずやっておいた方がいいだろう。大人は子供の見本だから。
そんな望の後について、
「いただきます」
と琉斗も言うのだ。
その言葉に雄介は微笑むと、雄介もそう言い、三人は朝ご飯を食べ始める。
「なぁ、雄介……俺さぁ、昨日、子供が苦手だって言っただろ? 今日、和也達に来てもらっていいか?」
「せやな……和也なら、子供の扱いとか慣れてるし、望がそうしたいなら、そうしてもええで……」
「なら、そうさせてもらうな」
「それと……」
何故か雄介は言葉を言いにくそうにしていた。
「なんだよ……早く言えよ」
そんな雄介に気づいたのであろう、早く言えとばかりに先を促す望。
「あっとな……悪いんやけど……琉斗を幼稚園まで送りに行ってくれへんかなぁ? って思ってな。それに、幼稚園は午前中やし、ご飯食べたら帰宅するから、その……お昼の休み時間を利用して、その……望が言う、病院内にある託児所に預けておいて欲しいんやけど……」
望はその雄介の言葉に溜め息を吐くのだが、
「そこはやるしかねぇからやっとくよ。 まぁ、和也を連れて行くけどな」
「ホンマ、ありがとう! 望に迷惑かけるけど……ホンマにホンマによろしくな!」
「ああ……分かったよ……」
雄介は琉斗の方に顔を向けると、
「琉斗……もう一回、望兄ちゃんに『よろしくお願いします』って言って……」
「うん! 分かった!」
そう琉斗は雄介に笑顔を見せると、今度は望の方に笑顔を見せ、
「よろしくお願いします」
と頭を下げるのだ。
「ああ。 よろしくな」
やっと望は自然な笑顔を琉斗に見せることができたようだ。
「そうや! 琉斗の幼稚園の場所やけど……俺の消防署の近くなんやって……」
「なら、俺が行かなくてもいいじゃねぇか」
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