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ー天使ー20

 しばらく車を走らせていると、道沿いにレストランを見つけた和也が車を駐車場へと止めた。 「よし! 着いたー!」  その声に応じて、裕実や望と一緒に琉斗も車を降りる。  降りた直後、琉斗は涙目になりながら望を見上げて言った。 「望兄ちゃん……トイレー!」 「……へ? トイレ? あ、あー、トイレか……」  望は戸惑いつつも和也の方に顔を向ける。 「和也、琉斗がトイレだってさぁ」 「はいはい! 俺が琉斗をトイレに連れて行けばいいんだろー」  和也がそう言った直後、琉斗は望の足にしがみついてきた。 「望兄ちゃんとトイレに行く!」 「……へ? 俺と?」  望はこんな状況に慣れていないのか、明らかに困惑している。 「って、琉斗……」  和也は琉斗の身長に合わせてしゃがみ込み、 「そんな年になって一人でトイレできねぇのか?」 「できるよ!」  琉斗は自信満々に答える。 「なら、望とか俺とかと一緒に行かなくてもいいじゃねぇかぁ」 「でも、僕は望兄ちゃんと行きたいの!」 「でもなぁ、望兄ちゃんはそういうことに慣れてないんだよー。だから、俺と一緒に行かないか? ちょうど俺もトイレに行きたかったとこだしよ」  和也がそう提案すると、琉斗は少し考え込み、 「仕方ないなぁ、和也兄ちゃんもトイレに行きたいんなら、今回だけは和也兄ちゃんと一緒でいいや……」  その言葉に、和也と望は思わず目を丸くした。  さっきまで素直でいい子だと思っていたが、どうやら違うらしい。明らかに口調までも変わっている。 「んじゃ、行くか!」  和也は琉斗の手を取ろうとしたが、琉斗は手を引っ込め、 「僕、一人で行けるから大丈夫!」 「そっか……なら、先に行っちまうぞー!」  和也はそう言うとファミレスに向かって走り出す。  その姿を見て、琉斗は追いかけるどころか望の方を振り返り、 「和也兄ちゃんって、大人気ないね……」  そう言い捨ててから、ようやく和也の後を追い始めた。  琉斗の言葉に望と裕実は思わずクスクスと笑い出す。 「和也は琉斗君に嫌われてるのか、それとも気に入られてるのか、どっちなんでしょうね」

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