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ー天使ー19
一瞬ショックを受けた和也だったが、すぐに立て直し、
「確かに、望兄ちゃんの車の方がカッコイイよなぁ」
と、頭を切り替えて子供に合わせたようだ。
「だよねー! 望兄ちゃんの車の方がカッコイイ!」
元気よく答える琉斗の様子は、やはり子供らしい。
和也はしばらく車を走らせると、スーパーの駐車場に車を止めた。
「どうせ、望の家に食べ物ないんだろ?」
「まぁな……。ある意味、外食でもいいんだけどさぁ」
「んー、そうだなぁ?」
和也は少し考えた後、琉斗に顔を向け、
「お兄ちゃんが作るご飯と外食、どっちがいい?」
そう笑顔で尋ねると、琉斗は首を捻り、
「外食がいい!」
元気に答える琉斗に、和也は笑顔を見せてから提案する。
「なら、ファミレスに行くか!」
「俺はそれでも構わねぇけど……」
「なら、そうするかなぁ?」
和也がそう言った瞬間、琉斗が和也の方を向いて、
「和也お兄ちゃんがお子様ランチ作れるんなら……僕は家で食べてもいいよ!」
その言葉に、和也は何かを感じ取ったのか、眉間に皺を寄せ、
「なぁ、望……まさか、雄介って、お子様ランチ作れるのか?」
「あー、確か、昨日、琉斗に作ってたなぁ」
「マジか……。俺は一応料理はできるけどよー、簡単なもんしか作れねぇんだよなぁ」
「あ、だから、今まで……焼きうどんとか野菜炒めとかだったのか!?」
「ま、そういうこともあるけど……やっぱさぁ、この仕事してると帰ってすぐご飯食べてぇじゃん……だから、凝ったもん作る暇がなかったっていうのかなぁ?」
和也がそう言い終えると、琉斗がピシャリと、
「和也兄ちゃん! それって、言い訳って言うんじゃないの!?」
と突っ込む。その無邪気な一言に、和也はまたしても転けそうになった。
子供というのは本当に純粋で、思ったことをそのまま口にする。良いことも、時には辛辣なこともだ。
その琉斗の言葉に、望も裕実も思わずクスクスと笑い始めた。
和也は溜め息を漏らしながら、
「じゃあ、ファミレスでいいなぁ?」
「そうだな……」
そう答える望も、まだクスクスと笑っている。
和也は車をスーパーの駐車場から出し、琉斗のリクエスト通りにファミレスへと向かった。
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