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ー天使ー138
「せやな……ほんなら、何しようかなぁ?」
雄介はテーブルの前にあるメニュー表を取り、食べたい物を選んでいるようなのだが、望は何もせずにボーっとしていた。
そんな望に気付いた雄介は、
「望は何も頼まんの!?」
「あ、いや……別に……頼むに決まってんだろー。雄介が今持ってるのがメニュー表か?」
「あ、ああ、まぁな……」
「雄介が頼み終わった後でいいから、それ、貸してくれよ」
「あ、ええよ」
雄介はメニューを決めるとオーダーを頼むのだが、望の方は未だにメニューが決まっていないのであろうか。オーダーを頼む気配すらなかった。
既に和也は先に来ていたこともあってかラーメンを食べ始めている。
「ん? 望はまだメニュー決まらないのか?」
「あ、まぁ、まぁな……」
「なぁ、望……無理して食わんでもええんやで」
「む、無理なんかしてねぇけど。あのさ、オーダー頼む時って、声を上げなきゃならねぇのか?」
「なんや……そないなことかいなぁ。望は何が食いたいん?」
雄介は望のその一言で何かを察したのか、望にそう言うと、望が頼みたい物を聞き、望の分も注文してくれたようだ。
そう、望はこういうとこに来慣れてないせいか、大声を張り上げて注文するということが恥ずかしかったのに雄介は気付いたのであろう。
だから雄介は望からメニューを聞き出し、注文をしたのだ。
「やっぱ、ラーメン屋にしたんはまずかったんかなぁ?」
「あ、いや、たまには俺も食いたかったしさ」
「そっか、ほなら、良かったんやけど……」
「やっぱり、望はこういうとこには来慣れてなかったんだなぁ。望は一人じゃ、こういうとこに来ないタイプだろ?」
「あのなぁ、まず、俺にはこういうとこに来るってのが頭になかっただけだ」
「……ってことは一回も来たことがなかったのか!?」
「ああ、ねぇよ。小さい頃は婆ちゃんが作ってくれてたし、大学時代は彼女とこんなとこに来る機会もなかったし、和也と外食って言ったら、焼き肉屋ばっかだったしな」
「なら、始めっから、来たことが無いって言ってれば良かったじゃねぇかぁ。そしたら、全部、雄介に任せられた訳なんだしさぁ」
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