1618 / 2073

ー決心ー16

「さよか、ほんなら……今日はゆっくりとはいかへんけど、ラブラブしてー、それから……」  雄介は幸せそうな笑顔で望の体を抱き締める。  そんな望は黙ったまま、雄介に抱きしめられたままでいた。  だが、雄介の顔が見えていない望も、雄介に抱き締められて幸せそうな顔をしているようだ。 「ほな、出ようか? 望とラブラブしてる暇なくなってまうし……」  雄介は望から離れると、先にお風呂場から上がり、脱衣所で着替える。  雄介は寝る時、パジャマは着ない。やっと寒い時期が終わった最近では、ハーフパンツにTシャツ姿で部屋の中でいる。  その後、望はお風呂場から上がり、パジャマへと着替える。  そして望が着替えるのを待っているのか、雄介は着替え終えてからも脱衣所にいた。  さっき幸せな気分になっていた望。何だか今日はというか、もっと幸せな気分を味わいたいと思ったのか、望は着替え終えると雄介の体を背後から抱き締める。  突然、背後から抱きしめられた雄介は、まさか望がこんな行動に出るとは思っていなかったのか、目を丸くさせ、体を固まらせてしまったのだから。 「の、望……今日は急にどないしてん? いつもの望と違ゃうような気がすんねんけど……?」  逆にそんな望の行動に雄介の方は慣れていないせいか、顔を強張らせているようにも思える。 「気のせいだろ? って、さっきも言ったじゃねぇか」 「ま、まぁな、せやな。ほんなら、行こうや」  雄介は望にそう言ったのだが、一歩足を踏み出そうとした時、更にきつく抱き締められたのが分かった。 「……望?」  雄介はゆっくりと望の方へと振り向くと、望は雄介の顔を見上げ、笑顔を向けるのだ。  いつもとは違う望に、雄介は頭を悩ませてしまう。  なんというか、調子が狂うというのであろうか。戸惑うというのであろうか。  だが雄介はいつもの自分に戻すために一度頭を振ると、 「望が離してくれへんのやったら、お姫様抱っこでもして部屋に連れて行ってまおうかなぁ?」  雄介は望の体を抱き上げると、望と一緒に二階の部屋へと向かうのだ。

ともだちにシェアしよう!