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ー決心ー52
「そう言われてみればそうだな」
「……ってことは、今の奴、この病院内のこと詳しくないんと違ゃうんか?」
「……ってことは、今の奴は、歩夢のことを誘拐した仲間の可能性が高いってことか!?」
「ま、あくまで高いって訳で、まだ、確信ではないなぁ」
「まぁ、そうだけどさ。 でも、もし、そうだとしたら? ヤバいんじゃねぇのか?」
「ま、そうやねんけどな。 アイツ、俺達のこと追い掛けても来ぇへんなぁ。 ま、もう、後ろに姿は無いみたいやけどな」
とその時、望の胸のポケットに入っている携帯が震え、望は携帯を開くと、その相手はどうやら和也だったようだ。
望は電話に出ると、何故だか人の荒い息遣いしか聞こえてこない。
望は不思議に思いながらも、もう一度電話の相手を確認すると、やはり今の着信は和也からである。
「和也! どうしたんだ!?」
そう望が問い掛けると、荒い息遣いの合間から僅かではあるが、声が聞こえてきた。
「望! 歩夢……の、誘拐犯の……仲間に……ハァハァ……どうやら、見付かっち、まった……みたい……なんだよな……。 それで、今、そいつに……追い掛け……ハァハァ……られてる……みてぇなんだ……」
どうやら、この病院内に歩夢は居るようなのだが、まだ確信ではない。
そう、今の電話で和也は犯人の仲間に追い掛けられていると言っていたのだから。
「……で、お前は今、何階に居るんだ?」
「今は……?」
と和也が言おうとした直後、何故だか通話が途切れてしまった。
まさか和也までも誘拐犯に捕まってしまったのであろうか。
「雄介! 和也のとこに行くぞ!」
「……って、どうしたん?」
「和也が、どうやら、誘拐犯に追い掛けられてるみたいなんだよな」
「誘拐犯に追い掛けられとる!? それ、ホンマなんかいなぁ」
「らしいぜ。 とりあえず、歩夢より先に和也の方に行ってみねぇと……」
「せやな……まぁ、俺達が行ったからって、どうにか和也を助けることが出来へんかもしれへんけど。 行かないよりはマシってことやな」
望たちはまず和也が向かったであろう五階へと向かう。
だが、この病院の五階はどうやら今は使われていないようで、他の階と比べて埃などが溜まっているだけの病室だった。
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