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ー決心ー74

「き、気になっていたということは?」 「こんなとこで言うのもなんなんですが……」  その女の子はそこで頭を下げると、 「好きなんです! 付き合ってください!」  そう急に望に告白してきた。望はその言葉に目を丸くすると、 「……へ?」  と声を裏返ししてまで答える。  そして雄介に視線を向け、何かを訴える望。  これでは先程のナンパの時のように逃げることはできない。断るか、付き合うかしか選択肢はないだろう。 「それは……望が決めた方がええんと違うのかな? あの子は望に言うとるんやし」  雄介は望にそう言うのだが、望からしてみたら久しぶりに女性から告白され、どうしたらいいか分からないようだ。  そして望は少し考えた後、 「分かりました。 貴方の気持ちを受け取ることはできますが、やはり、付き合うということはできません。理由は僕には今、付き合っている人がいるからです。付き合っている人がいて、もう一人の誰かと付き合うことは僕にはできません。 本当に申し訳ありません」  望はそう断ると、頭を下げる。 「やっぱり、そうですよねぇ。吉良先生くらいなら、素敵な女性がいてもおかしくない年ですものね。スイマセン! いきなり、こんなとこで告白してしまって……。吉良先生を先程、お見かけした時に、私の中で今しかないと思ってしまって、自分のことしか考えてなくて、いきなり告白なんて、驚かせてしまいましたよね。本当に申し訳ありませんでした」  そうその女性は言い残すと、涙声でその場を去って行く。 「望も人気あるやんかぁ」  雄介はそうふざけて言うのだが、どうやら望はいい顔はしていない。  望は溜め息を吐きながら、 「なんか、久しぶりに告白された気がするなぁ。あ、いや……雄介を除いて、女性に告白されたのが久しぶりのような気がすんだよな。なんか、変に今日は疲れたな……色々と……」 「そっか、ほんなら、携帯取りに行って帰るか?」 「あ、いいや……」 「……へ? まだ、デートし足りないん?」 「いや、人がいないところに行きたいかな?って……ただ、二人だけでゆっくりしたいんだけど……」

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