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ー決心ー75

「分かった……望がそうしたいなら、そうしよう」  雄介はそう言うと、望の肩に腕を回す。  人混みの中でも、今の望の心境を考えると、自然と腕が回ってしまったのだろう。男性同士で肩に腕を回す行為はよく見られる光景だから、雄介は特に意識せず望にそうしたのだ。  望もまた、雄介の腕に手を払うことなく、その中におさまった。  二人が携帯ショップに入ると、雄介はある人物の背中を見て小さな声を上げる。  その声に望が顔を上げると、携帯ショップの中で見覚えのある人物が携帯を選んでいるのが目に入った。 「か、ぁ……」  と望が声を上げようとしたその時、その人物も望達に気づいたようだ。 「なんーだ、望達も来てたんだなぁ」 「あ、まぁな……」 「ま、俺達はもう携帯選んで、取りに来た所なんだけどな……」 「そうか、俺達は今から選ぼうとしてる所なんだけどよ。 それから不動産屋行って、二人で住める部屋を探すつもりだよ」 「なんや、和也達もやっと一緒に住めるようになったんやな!」 「ああ、やっとだ! 一緒に住めるようになったんだよ」  望達が携帯ショップに入ってきた時、先に来ていたのは和也と裕実だった。 「なんやろ? 裕実と会うのは久しぶりのような気がするな」 「そうですねぇ、確か、雄介さんが大学合格してから会ってないと思いますよ」 「そうかぁ、そうだったかぁ。 確かに、そんなに会ってない気がするなぁ」 「……で、雄介、学校の方はどうなんだ?」 「んー、適当にやってるよ。 前の仕事に比べたら、なんか平和な生活を送ってる感じがするし」 「そりゃ、命の危機はないからな」 「学校は確かに平和なんだけど……歩夢がちょっと……」 「あー、望から聞いてるよ! 確かに、歩夢は厄介みたいだよな」 「それは置いといてなぁ。 もう、俺達は携帯を貰って帰るだけだからさ」 「そだな、久しぶりのデートを邪魔しちゃ悪いしな」 「それはこっちの台詞だよ……」 「まぁ、雄介のこととか色々聞きたいところだけど、今日は二人ともデートってことだから、その話はいずれ聞くことにするよ」

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