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ー平和ー9

 望が声を掛けても雄介は振り返ることなくパソコンに向き合ったままでいる。それだけ今は集中しているということだろう。  そんな雄介の態度に少しムッとした表情をする望。そして雄介が居る所へと向かうと、 「雄介! 聞いてんのか!?」  そうわざと雄介の耳元で声を荒げるのだ。  流石の雄介もそんな耳元で大声を聞いたら反応しない訳がないだろう。 「あー、ビックリしたわぁ。って、急にどないしたん?」  本当に今望が隣に居ることに気付いたようで、雄介は望のことを見上げる。  そんな様子の雄介に望の方は腕を組み、不機嫌そうな表情を全面に出しながら、 「今日は和也達が来てくれたから、顔を出してやれよ」  それだけを雄介へと告げると、望はそのままリビングへと向かう。  そして不機嫌全開のままで望はリビングにあるリビングチェアに腰を下ろすのだ。  和也と裕実は一緒に料理を作っていたのだが、そんな様子の望に気付き、和也と裕実は望の方へと視線を向ける。 「どうしたんです? あの……雄介さんは?」  流石にこの望の雰囲気に普通に聞ける訳もなく、裕実は少し申し訳なさそうに望に問うのだ。 「知らねぇよ! あんな奴!」  そう答える望に、和也と裕実は視線を合わせ再びアイコンタクトを交わすと、 「じゃあ、僕が雄介さんを呼んで来ますね」  裕実は料理で濡れてしまった手をタオルで拭きながら、雄介が居る二階へと上がって行く。  その間、雄介が下へと降りて来る気配はなかった。  裕実は雄介達の部屋の前に立つと、ドアをノックし返事を待つ。 「雄介さん? いらっしゃいますか?」  雄介からしたら久しぶりの裕実の声に顔を上げ、 「何?」  と一言だけ返すだけだった。 「勉強の方ははかどっているのでしょうか? 今日は僕達が来ているので、たまには少し休憩でもして、僕達と一緒に話をしながらご飯でも食べませんか?」 「ああ、うん……ありがとうな。せやけど、まだまだやることがあるし、後でいただくことにするわぁ」  そう雄介は断るのだが、 「雄介さんが今忙しいのは分かりますけど、たまには僕達と話をしたりして、ゆっくりとした時を過ごすのもいいと思うんですけど……」

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