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ー平和ー11
正確には、何から話をしたらいいのか分からないからこそ、言葉が出てこなかったのかもしれない。
二人の間に会話が生まれないせいか、和也は軽く溜め息を吐きながら、
「とりあえず、飯作ったからさ……飯食おうぜ」
そう言って、自分が作ったご飯をテーブルの上に並べていく。
「ゴメン、簡単な物しか作れなくて……」
「あ、うん……ええよ。ホンマは和也達は客なんやから、俺が作らなアカンところなんやしな」
「ま、まぁ、そこは気にすんなよな。雄介達は今忙しいんだからさぁ。暇な俺達にこういうことはやらせてくれよ。それで、雄介も望も最近、会話もしてねぇみたいだけど……会話が出来ないほど忙しいのか?」
和也は、未だに二人の間に会話がないため、質問を投げかける。
「ああ、まぁな……」
和也が作った料理を口にしながら、望と雄介は一緒に声を揃えて答える。
和也は二人に問いかけているのだから、ある意味、二人の声が揃っても不自然ではないのかもしれない。
雄介と望は向かい合って座っていた。この二人が二人きりの時は対面で座るのが普通だが、和也達がいる時はいつも隣り合って座っていた。しかし今日は何故か対面同士で座っている。そのせいなのか、二人は同時に声を上げた次の瞬間、自然と視線が合ってしまったようだった。
「スマン……」
そう言って望は雄介から視線を外し、再び料理に目を向ける。
久しぶりに雄介と視線が合ってしまった望。久しぶりすぎて、雄介と視線を合わせ続けることができなかったのかもしれない。いや、赤面してしまった顔を雄介や和也達に見られるのが恥ずかしくて、ただただ視線を料理に移したというところだろう。
だが、和也は何事もなかったかのように話を続ける。
「俺は望が忙しそうにしているのは知っていたけど、まさか雄介までとは思わなかったぜ。確かに、俺達も雄介と会うのは久しぶりだけどさ。……そんなに医者になるための勉強って大変そうなんだな」 「そりゃな……」
雄介は和也にその一言を返し、俯きながら料理を口にする。
そんな雄介の横顔を和也はチラリと覗くと、確かに疲れたような表情をしていた。まるで気持ち的にやつれているように見えるのは、気のせいだろうか。
かつての雄介は毎日が充実していて、生き生きとしていた。しかし、今はまるで魂が抜けてしまったかのように見えるのだから。
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