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ー平和ー24

「なんや、その話、聞いたことがあるわぁ。和也はホンマは医者になりたかったんやけど、母子家庭やったから、看護師にしたって……」 「ある意味、和也はサラブレットだよなぁ。まぁ、俺んとこもそうだけどな」 「そうやったん!?」 「家の母親も看護師だよ」  望から初めて望の母親が看護師だったと聞き、雄介は目を丸くした。 「だから、俺が小さい頃、母親も一緒にアメリカに連れて行ったのさ」 「ほなら、今も現役なん?」 「今は一緒に帰国して、多分、家に居るんじゃねぇかなぁ?俺は別に母親っ子じゃねぇし、あまり、自分から母親のことを親父に聞かねぇからな」 「そうやったんか……」  二人は久しぶりの会話を楽しみながら、いつまでも話を続けていた。そして、次の日は和也に言われた通りに、二人とも自分のことを後回しにして、二人だけの時間を過ごした。  月曜日。  望は雄介が作ってくれた朝食を食べ、幸せな気分で仕事場へと向かった。やはり、前のように雄介に朝ご飯を作ってもらい、それを食べてから仕事をするというのは気分が違うらしい。望にしては珍しく、和也との部屋内で鼻歌を歌っているのだから。  和也が部屋へと来ると、そんな朝から陽気な望に声を掛けた。 「雄介といつもの生活に戻したみたいだな?」 「まぁ、とりあえずはな」 「それなら良かったぜ」  いつもの和也なら何か一言多く言うのだが、この日は余計なことを言わず、そのままロッカールームへと向かった。  和也は何年も望と一緒にいるため、望の性格を分かりきっている。そのため、もう余計なことは言わないと決めたのだろう。その点に関して、和也も少し大人になったのかもしれない。  午前の診察を終えると、和也はこの後の検温のため、望と一旦別れて仕事を始めた。  望は部屋に戻り、パソコンに向かって仕事をしていると、突然ドアが開いた。そこには、血相を変え、息を切らした和也が立っていた。 「ちょ、どうしたんだよー。そんなに息を切らしてさぁ。ビックリしたじゃねぇかぁ。ホント、心臓に悪ぃから、その開け方勘弁してくれねぇか?」

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