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ー平和ー29
「これから、ずっと僕たちは一緒にいるようだから、とりあえず兄さんのことを見つけたし、挨拶だけでもって思ったんだけどね。それに今はそんなに時間がないからなぁ。まぁ、話が聞きたいのなら、今日、仕事が終わったら待ち合わせしないか?」
その朔望の提案に、望は少し悩んでいるようだった。確かに、自分の過去の話は気になる。だが、昨日和解したばかりの雄介と一緒にいたい気持ちも捨てがたい。
しばらく考え込んだ後、望は朔望を見上げて答えた。
「分かった……。今日、仕事が終わってから、もっと話を詳しく聞きたいから約束する」
「じゃあ、仕事が終わったら、僕は兄さんたちの部屋に向かうよ」
「分かった……」
そこは兄弟の縁というものだろうか。望は特に警戒することなく、朔望の申し出を受け入れた。
その後、朔望が去った後、望と和也も席を立ち、食器を片付け棚に戻すと、午後の仕事に備えて部屋へ向かった。
「望には聞いたことがなかったけど、望って兄弟が多かったんだな」
「俺だって、知らなかったことばかりだよ。まぁ、歩夢はなんとなく覚えてるけど、年が離れてるから兄弟でもおかしくはねぇ。でも朔望はな……双子って言われてもピンと来ねぇし、本当に記憶がねぇんだよな」
「でも、望にそっくりなんだから双子以外考えられねぇだろ」
和也は苦笑しながら続けた。
「とりあえず、ドッペルゲンガーじゃなくて良かったな」
「あのなぁ、まず、ドッペルゲンガーって本当にあるのか?もしかしたら、俺みたいに双子ってだけの話だったりしてな」
「まぁ、確かにドッペルゲンガーなんて実在するかどうか分からねぇし、俺も本とかで見たくらいだな」
「なら、そういうことなんじゃねぇか?」
「ま、まぁ、そうだな。とりあえず、今日は朔望と会うんだろ? 雄介には連絡しとくのか?」
「まぁ、雄介には今日は遅くなるって連絡くらいは入れておくよ。別に雄介とはいつでも会えるけど、朔望とはお互い時間が合う時にしか会えねぇからな。第一、俺が過去のことを知りてぇしさ」
「まぁ、確かに自分の過去については知りたいもんだよな。アイツが言っていたけど、お前は婆ちゃんっ子で日本に残りたかったらしいしな」
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