1770 / 2073
ー平和ー37
「別に俺はいいんだけどさぁ。望や雄介が来るかなぁ? って思うんだけど、特に今の望がな……」
「多分、僕が誘えば断らないかと思いますよ。今まで、望さんを色々と僕が誘った時には断られたことがないですからね」
「じゃあ、分かった。お前は望のことを誘うとして、俺は雄介にメールでも入れておくな」
「それでもいいんですけど、もし僕でも望さんのことを誘えなかった時に困るので、望さんから承諾を得てからにしてくださいね」
「確かにそうかもしれねぇな。今んところ裕実が誘えば望は百パーセント承諾していたけど、もしも断られた場合がある訳だしな」
「そういうことです」
裕実は、まだパソコンに向かっている望の前まで行き、
「望さん……? 今日はみんなで外食でもしませんか?」
裕実にそう声を掛けられた望は、右横に立っている裕実のことを見上げる。
「なんだー、裕実か……」
そう言う望は、先程より全然穏やかな口調に思える。
「ああ、そうだな……たまには気分を変えて、外食ってのもいいよな」
思っていたより簡単に承諾する望。
そして裕実は一つ手を叩き、あたかも今思い出したように、
「それなら良かったですよ! あ! 雄介さんも呼びましょうよ!」
と、今思い出したかのように雄介の名前を出す。
「そうだな……。雄介も腹減らしているだろうし、丁度いいんじゃね? それに、ここんとこ勉強ばっかりで、あまり飯のこと考えてなかったみたいだから、今日はいつもの焼き肉屋にするか?」
「いいですねぇ。丁度僕も焼き肉を食べたかったところでしたからー。それと、一つだけ提案というのか……いつも望さんの家でご飯をご馳走になっているので、今日は僕たちにおごらせてもらえないでしょうか?」
「……へ? あ、ああ、そうか……ああ、ありがとうな」
裕実は相当真面目な性格なのか、それとも後でご飯を奢る、奢らない等の揉め事を起こしたくないのか、先に丁寧に望に断りの言葉を言っておく。
しかし急にそんなことを言われても、どう返したらいいのか分からないのが望だ。
「じゃあ、今日はみんなで外食に行きましょう」
「そうだな……」
ともだちにシェアしよう!