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ー平和ー47

「朔望は歩夢に対して、そういう気持ちはあるんだな。じゃあ、歩夢はどうなんだ?」 「僕も……朔望兄さんでもいいんだけどね。でも、朔望兄さんって望兄さんに似てるしー」 「歩夢、それ、答えになってねぇぞ。アメリカ暮らしが長かったせいで日本語おかしくなったか?」 「え? 大丈夫だよ! でも、でもさ……ただ、僕が受け側っていうのは譲れないだけ!」  その歩夢の言葉に、和也はこめかみを押さえながらため息をついた。 「せっかく、俺が一生懸命考えてるのに、話をまた戻すなよな……。だからさ、それは後で二人で決めてくれって!」  その時だった。朔望が突然、隣にいる歩夢の唇に軽くキスをしたのだ。 「ちょっ! 朔望兄さん!? いきなり何するんだよ!」  顔を真っ赤にした歩夢が驚きと戸惑いの表情を浮かべて朔望を見上げる。 「ただ、確かめたかっただけだよ。僕が歩夢にキスするのは問題ないってことをね」 「そんなことを確かめるためにキスしたわけ?」 「大事なことだろ? キスもできない相手と、その先には進めないからね」 「そりゃ、そうだけど……」 「それに、今わかったよ。歩夢は僕となら大丈夫だってこと。ここではプライドが邪魔して『攻めは譲れない』なんて言ってるけど、実際は違う。強がってるけど、本当は受け入れる気があるんだろ? じゃなきゃ、雄介さんには『ネコでもいい』なんて言えないだろうしね。遊んでたとき、ネコの経験もしたんじゃないの? いきなりキスされて顔が赤くなるなんて、そういうことだろ」  朔望の言葉に、歩夢は俯いて何も言い返せなかった。その姿を見て、朔望は軽く笑いながら、 「これで決着だな。弟は兄には勝てないってことさ」 「そもそも、歩夢は僕より10歳も年下なんだし、言葉でも力でも僕には敵わないよ。まぁ、今日から歩夢にはたっぷり楽しませてもらうよ」 「絶対に嫌だ!」 「大丈夫、僕の方が経験豊富だから、ちゃんと気持ち良くしてあげるよ。さ、早速帰って続きをしようか?」  そう言いながら、朔望は再び歩夢の唇に軽く触れる。そして、そのまま歩夢を抱き上げると、 「じゃあ、僕たちは先に帰るよ。こんな可愛い弟を見つけたら、待ってられないからね」  そう言い残して、朔望は歩夢を抱えたまま焼肉屋を後にした。

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