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ー平和ー50

「例えばやなぁ」  雄介は少し考えるように天井を見上げてから、ぽつりと言葉を紡ぐ。 「前は俺の前ではあんまり言うてくれへんかったんやけどな……最近は『好き』とか、そういうことを言うてくれるようになったんやと思うわ」 「あ! そう言えば、さっき朔望たちと話してる時にもそんなこと言ってたよな。『雄介以外と付き合うなんて考えたことがない』ってさ」 「せやろ?」  望は軽く溜息を吐いてから、机に両手をついて立ち上がった。 「よし、帰るぞー。もう今日は遅いし、明日の仕事に響くだろ? 雄介、お前もあれだけ勉強するって言ってたくせに、最近ちょっとサボり気味じゃねぇか?」  雄介は慌てて携帯を取り出して時間を確認する。時刻はすでに深夜0時を回っていた。 「ホンマや! やべぇ! 明日、レポートの提出日やったわ。今日は徹夜確定やなぁ」 「お前なぁ……」 「まぁ、さっきまで半分以上は終わらせとったけど、まさかこんな時間までおるとは思わんかったわ」 「本当に忙しそうだな、雄介。とりあえず今日は帰るか。あと、ちゃんと暇を作って望との時間を大事にしろよ」 「ああ、分かっとるで」  雄介は和也に笑顔を向けると軽く手を振った。 「ほな、またな。何かあったらいつでも声かけてええからな」 「ああ、ありがとな。まぁ、俺らに何かあるとは思えねぇけど、その時はよろしくなー」  全員が席を立ち、和也が会計を済ませると、それぞれ車に乗り込み帰路についた。 翌日  夕方、和也はいつものように部屋の掃除をしており、望はパソコンに向かって仕事をしていた。その時、部屋のドアをノックする音が響いた。  和也は裕実だと思ってドアを開けたが、そこに立っていたのは裕実ではなく、昨夜会話を交わした朔望だった。  朔望が訪ねてくる理由は思い当たらなかった。昨夜の話で一応、話は終わったはずだったのだ。それでも朔望は何事もなかったかのように部屋へ入ってくると、ソファに腰を下ろし、軽く笑みを浮かべる。 「昨日の夜は最高だったよ。兄弟って、やっぱり近い関係だからなのか、相性がいいみたいだね。僕と歩夢の相性も抜群だったよ。案の定、歩夢は僕に組み敷かれたわけだけど……」  朔望は楽しそうに続ける。 「歩夢、昨日は『攻めがいい』なんて強がってたけど、やっぱり僕の見立て通りだったなぁ。すっごく気持ちよさそうに僕のことを受け入れてくれたよ」

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