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ー平和ー67
「分かった……。 女性に優しいキザ野郎さん。 そんなに死に急ぎたいんなら、お前も一緒に人質になってもらおうか!」
犯人のリーダー格と思われる一人が顎を上げ、犯人達数人が朔望の近くまで来ると、朔望のことを引っ張り出そうとした時、朔望の反対側で朔望の腕を後ろ手に掴む人物がいた。
「人質の一人になってはダメですよ! 命を粗末に扱うものじゃありませんから!」
そう言うと、裕実は朔望のことを真剣な眼差しで見上げるのだ。
「大丈夫だよ……。 それに、男性が好きな僕だけど、女性の事は放っておけないタイプだしね」
「それは分かりますけど! ダメなんですってば!」
「じゃあ、君も来る?」
その朔望の言葉に裕実は言葉を詰まらせる。
そりゃ、そうであろう。 そんなことを言われたら誰しも言葉が出ないに決まっているのだから。
そんな中、裕実は瞳を潤ませ、望へと朔望の事を止めるよう目で訴えるのだ。
望はそんな裕実の訴えに、溜め息を吐きながらも、
「お前なぁ、そんなことしたら、色んな人が心配するだろうが、父さんも母さんも……それに今は歩夢も大事なんじゃねぇのか?」
「でも、ここまで来たら、後には引き下がれる訳がないでしょ」
そうぐだぐだと三人で話をしていると、
「何、めんどくせぇことしてんだよ! お前もだが、後の二人も連れて行くぞ!」
犯人達は朔望を引っ張り出すのだが、更に裕実や望も引き出すのだった。
「さて、とりあえず、人質を解放しますか……」
そうリーダー格の一人が言うと、人質達のロープを解いて行くのだ。
本当に犯人達は今まで人質だった人達を解放してくれるのであろうか。 それはまだ分からないところだ。
そしてリーダー格の一人が、爆弾らしき物を紙袋から取り出しカウンターの上に出すと、
「この爆弾が爆発する前に外に出るんだ!」
そう言うと、人質達は一気に外へと向かうのだが、まだ犯人達の人質とされている望達はロープは切ってもらえているものの犯人達に囲まれながら、お金が入ったバッグを持たされ、そのまま屋内から外へと犯人達と一緒に逃げ出されてしまっている。
犯人達は人質達の中に紛れ込みながら外に出ているのだから、ある意味、警察が犯人達を特定するのは難しいだろう。
全員が外に出た直後に犯人達が仕掛けた爆弾は爆発し、銀行周辺は更に騒然とし混乱してしまっているのを横目に望と裕実と朔望は犯人達に連れて行かれるのだ。
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