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ー平和ー88
その殺気を感じた朔望はしゃがみ込み、
「女性には手荒なことはしたくないけど、君がそういう手段に出るんなら……」
そう朔望は独り言を漏らすと、その女性の腕を掴み、腕を捻らせる。
「桜井さん! 早く! ロープでこの女性の腕を縛って!」
いきなり朔望にそう言われ、雄介は一瞬戸惑ったのだが、すぐに朔望に言われた通りにし、その女性をロープで縛ると、
「これで、大丈夫やんな!」
「そういうこと……」
やっと朔望たちが巻き込まれた事件は解決したようだ。
その後、すぐに警察官が来て犯人たち四人を連れて行く。
今日はもう遅いこともあってか、裕実たちの事情聴取は明日以降ということになった。
裕実は和也に会うと、和也の体の中へと飛び込んでくる。
「無事なら良かったぜ……」
そう笑顔で言う和也。
「雄介さんと吉良さんが助けてくださったんですよ……って、」
裕実は何か気になったことがあったのか朔望の方に顔を向けると、
「吉良さん? あんなに強いのに、どうしてあそこから脱出しようとしなかったんですか?」 「強いというか……やっぱりアメリカで育ってきたから、自分の身は自分で守るっていうのがあるからね。強いというか……実際、僕自身はそんなに強くはないだけなんだよね。そう、犯人たちの力がどれだけなのか分からなかったから、闘おうとは思わなかっただけ……もし、自分より強かった場合、やられるのは間違いなかったしさ」 「そういうことだったんですか……」
「それなら、雄介の方がすごいよな。だって、雄介なんかは別に強くもねぇのに、お前たちを助けるために犯人の家に向かって行ったんだからよー」
「え? そうだったんですか!?」
「ああ。武道は学生の時に授業で習っただけだとか言って入ってったんだからな」
「雄介さん……それはさすがに無謀すぎますよー」
「しゃーないやんか……火事場のクソ力ってやつやしな」
裕実は軽く息を吐くと、今度は雄介の顔を見上げ、
「雄介さん! 望さんは大丈夫ですか?」
裕実にそう言われて、雄介は慌てた様子で、
「せやせや、ちょ、和也! 早く車出して!」
「あ、おう! そうだな!」
和也は雄介にそう促されると、早速車を病院へと走らせる。
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