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ー平和ー89
「しかし、こんな時間になっちまったけど……大丈夫かなぁ? 望の奴寝ちまってるんじゃないのか?」
「そうやんなぁ」
雄介は腕時計に目を移すと、時刻は二十時を回っていた。
「とりあえず、メールしてみるわぁ」
雄介は望にメールを送った。
『望、大丈夫か? 裕実たちは無事に助けたで……。まぁ、そういうことやから、こっちは平気やねんけど』
すると、返事はすぐに戻ってきた。
『大丈夫なら良かった。とりあえず、俺は起きてはいるけど……』
なぜか望からのメールの言葉はそこで止められていた。
これは一体どういうことなのだろうか。
望からしてみたら「雄介に来て欲しい」という意味なのだろうか。それとも「今日は帰って、ゆっくり休め」という意味なのだろうか。
そんな文の中途半端なところで止められては意味が分からない。
雄介は望からのメールに首を傾げ、
『今から、行って平気か?』
そう、ストレートな言葉を送る。
すると、望からの返事はすぐにあって、
『ああ、うん……待ってる……』
そう書いてあった。
雄介はその望の文に軽く微笑むと、顔を上げ、
「和也、とりあえず、病院までよろしくな! ま、歩夢たちも居るわけやし、まずは病院へ行ってくれへんか?」
「ま、そうだな……確かにそれがいいのかもな」
そう和也と話すと、雄介は何気なく後部座席に座っている歩夢たちの方に目を向ける。すると、朔望はさり気なく歩夢の肩に腕を回し、歩夢の方も朔望の胸の中にいる姿が見える。雄介はそんな二人に微笑むと、再び和也の方へと顔を向けた。
歩夢と朔望は兄弟という境界線を越えることができたのだろうか。
とりあえず、そんな二人の姿を目撃してしまった雄介は、和也のように突っ込むようなことはせず、静かに見守るだけにした。
それから十五分後。
車は病院の駐車場に到着し、後部座席にいた三人は車を降りていく。
「ほな、和也と裕実……また、今度な……」
「ああ、俺たちは望にいつでも会えるからさ、明日にでも望のとこに行くよ。望によろしくって伝えておいてくれ」
「おう! 分かった!」
雄介は和也と裕実に手を振ると、朔望たちと一緒に病院へと入って行った。
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