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ー平和ー92

「それやと、嬉しいわぁー」  そんな嬉しそうな雄介に望は安心したような笑みを見せると、 「だから、今日はもう寝ようぜ」 「せやな」  流石の望もこれ以上のことは気恥ずかしくなったのか、雄介にそう声を掛ける。  雄介もまた望の性格をよく知っている事もあってか、その後は大人しく望のベッドへと潜り込む。 「ホンマに足大丈夫なんか?」 「大丈夫だって……流石にこの日本において一般人が銃で撃たれるってのは少ないけどな。それに掠っただけっていうのかな?」 「掠っただけなん?」 「ああ、掠っただけだから大丈夫だって……」  そう望は言っているものの、実際、掠っただけではなく左足の太腿の辺りを後ろから撃たれ貫通していた。  だが望は雄介のことを心配させない為にも掠めただけと答えたのであろう。 「ホンマに大丈夫なん?あないに出血しておったのにか?」 「血そんなに出てたのか?」  望にとってそこはもう記憶なんかないのかもしれない。 「あ、ああ、まぁな……かなりの出血だったような気がしたんやけどなぁ。まぁ、気のせいだったって事もあるんやけど……。とりあえず、和也が直ぐにな、止血してくれたみたいやったし。こう俺の方も記憶が曖昧な所あるしなぁ。あん時、望はもう意識が朦朧としてたんやないの?」 「あ、ああ、そうかもしれねぇな。俺はあの爆発が起きた時に、被害者が大勢居たもんだから、体が無意識に動いてしまった直後に……自分に何が起きたかさえ覚えてなかったからな。気付いたら、もう、病室のベッドの上だったし、それで、雄介が居ただけだしよ」 「あん時、俺はまだ望んこと助けられへんかったわぁ……。和也もホンマ今の職業が天職なんやな。目の前に怪我人がおったら、直ぐに対処出来るみたいやしな」 「なら、雄介も和也のようになれるように頑張ればいいだろ?」 「俺にはまだ出来へんかったわぁ」 「雄介はまだ医者になった訳じゃねぇんだし、医者になった時に和也のように冷静に判断出来れば十分だよ」 「ま、そういうことやんな。よしゃ! 明日からまた学校で頑張ねんで!」 「やっと、卒業まで半分まで来たんだから、頑張ってくれよ! お前と一緒に働けるの待ってるからよ!」

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