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ー平和ー93
「せやな……」
雄介は再び望の体を抱き締めると、
「望、そろそろゆっくりしようか?」
「ああ、そうだな」
「体に差し支えるし」
雄介は望に優しい笑みを向け、望の頭を優しく撫でる。
「ほなら、また、明日……おやすみ……望……」
その言葉に望は目を瞑ると、そのまま夢の中へと落ちていくのだ。
そして次の日の昼頃になると、まずは和也と朔望が部屋に入って来る。
「望、大丈夫か?」
「あ、ああ、和也か……ま、何とか大丈夫だよ」
「なら、良かった。とりあえずさぁ、望が良くなるまでは、俺、朔望とコンビみたいだぜ」
「そうなんだな。ま、和也なら、小児科でも大丈夫だよな……子供の扱いになれてるし」
「それと、和也は本当に楽だよー。兄さんが退院しても、和也は僕と一緒がいいかな?」
朔望はそう言うと和也の腕を掴み、自分の方にへと寄せる。
「……へ?え?ちょーっと待てよ! 俺は嫌だからな! 今は望がいないからお前に付いてるけど、俺は望との方がいいの! 誰がお前の方に付くって言った!」
和也はそう言うと、朔望から腕を振り解く。
「だって、子供可愛いんでしょー」
「まぁ、子供は可愛いけどな……だけど、お前とのコンビは望が退院出来るまでなんだからよ」
「そう言いきっちゃっていいのかなぁ? 僕が親父に言ったら……?」
そう朔望が和也を追い詰めていると、望が口を挟み、
「和也はダメだ! 今更、俺は他の奴とコンビにはなりたくねぇからな」
「だってよ。俺もやっぱり望との方がいいしー」
「って、二人共、恋人同士みたいだねー。って、ある意味ラブラブなんじゃないの?」
「そういう訳じゃねぇよ。和也とは長年一緒だからな……だから、俺は和也とじゃないとダメなんだよ。それに、和也には裕実が居る訳だしな」
「ま、そうなんだけど……。じゃあ、僕は本宮さんと組もうかな?」
「本宮!? って、お前はまだ来たばっかりだから知らねぇかもしれねぇが、本宮って、もう一人居るんだぜ。裕実の実の兄で実琴って言うんだけどさぁ、実琴ならいいかもしれねぇなぁ」
「実琴!? 本宮さんの兄!?」
「その反応は実琴のこと知らねぇみたいだな。実琴なら、誰か知らない医者とだから、お前が気に入れば、実琴がいいと思うけどな。ま、裕実は新城が気に入ってるみたいだから、多分、無理だと思うけど」
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