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ー平和ー94

「そうなの!? じゃあ、僕だけが仲間外れっていうこと?」 「仲間外れってな……子供じゃあるまいし」  そう和也は小さな声で突っ込んだおかげか朔望や望にはその声は聞こえてなかったようだ。 「ま、いーや……とりあえず、しばらくの間、俺は朔望と一緒に行動するけど、それは一時的だから、望と俺の部屋はそのままだでいいみたいだぜ……」 「それって、どういう意味だ?」 「俺は今まで通り俺達の部屋に居るってこと。 朔望の部屋には行かないってことだよ」 「なるほどな……」  そして話が切れた所で朔望は突然にやけたような顔をし、 「ねぇ、兄さん……今日は僕が診察して上げようか?」  そんな朔望に望が気付かない訳もなく、 「嫌だ! なんかお前にやらせるとろくなことになりそうもないだろうしな……。 それに、お前の専門は小児科だろうがー、小児科専門の奴が外科関係のことは分からないと思うしな。 それに下心見え見えなお前に診察してもらいたくはねぇし」 「銃に撃たれた傷は別に専門とか関係ないでしょー。 それに、もしかしたら兄さんは知らないかもしれないけど、小児科医の方が色々と大変なんだよ! 小児科医は子供の怪我から病気まで全部診なきゃならないからね。 それに、まだ言葉を話せない新生児から幼児までも診なきゃならないから大変なんだよ。 後は一歩でも判断ミスをすれば訴訟されてしまう。 まぁ、訴訟されるのはどこの科も一緒だけど、僕が診てるのは子供だからね」 「まぁ、そうだよな。 それでも、お前は小児科医になりたかったんだろ?」 「前にも言ったけど……。 僕には小児科しかなかった訳ー。 最初は前に言った理由だったけど……でも、今は小児科医になれて良かったって思ってるよ。 やりがいがあるっていうのかな? 子供達にも色々と教わることもいっぱいあるし、本当に毎日が充実してるっていうのかな?」 「それなら、いいじゃねぇか……」 「って、兄さんは何で外科医になろうと思ったの?」  その質問に望はもちろん和也も目を丸くしながら朔望のことを見上げる。 「そういや、そんな質問誰にもされたことなかったなぁ」 「そういや、俺も望にそんな質問したことなかったなぁ。 で、どうなんだ?」

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