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ー平和ー102
望は朔望の言葉に納得したのか、
「ああ、まぁ……そうだよな。 俺は今までお前達が傍にいなかったから、兄弟って、どう付き合っていったらいいのか、よく分からねぇけど、これからは、お前達とも上手く付き合っていくようにするよ」
望と朔望は目を合わせると、自然と二人は腕を前に出し、手と手を組むのだ。
それを見ていた和也は、
「兄弟っていいもんなんだな。 って、まさか、望に二人も兄弟が居たなんてホント今まで知らなかったぜ。 望にそんな話も聞いたこともなかったけどな」
「まぁ、兄さんが兄弟が居るってことを知らなかったのは当然なのかなぁ? 物心つく前に僕と父さん達はアメリカに行っちゃった訳だしー、歩夢なんかはホント兄さんが知らない間に出来た弟だしねー。 僕達の赤ちゃんの頃のアルバムも僕達が持って行ってしまっていたから、家には僕達の存在が一切なかった訳だしさ」
「そういうことだったのか、道理で俺はお前や歩夢のことを知らなかったって訳だ」
「そういうこと。 あ、ばあちゃんやじいちゃんが死んだ時には父さんが一旦日本に来て、兄さんのことをアメリカに連れて行こうとしてたんだけど、もう、その時には兄さんは中学生位で、そん時も兄さんはアメリカに行こうとしなかったらしいよ」
「そうだったのか?」
「でも、何で兄さんはアメリカに行きたがらなかったんだろうね?」
「いやー、覚えてねぇな……」
「まぁ、一回、記憶喪失になってしまった時に思い出とかも忘れてしまったんじゃないかなぁ?」
「それは、どうだろ?」
「そういや、記憶喪失で思い出したけどさ……まだ、望は熱とか酒を飲むと積極的になるのか?」
今までずっと二人の話を黙って聞いていた和也は、手を叩き思い出したかのように聞くのだ。
「いや、多分、もう、ねぇと思うけど……。 雄介に聞いてみたらどうだ? どうやら、雄介、学校を終えて来たみたいだぜ」
望は窓の下に見える雄介を見かけ、雄介のことを指差す。
「あ、雄介だ。 なら、もう望は帰るんだろ?」
「ああ、まぁな……早く帰って、家でゆっくりしてぇしな」
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