そんな会話をしながら望達はスーパーへと着くと、雄介は相変わらず材料を選び、スーパー内を歩く。 「今日は何にするつもりなんだ?」 「ハンバーグなんかどうかなぁ? って思っててな……」 「ハンバーグかぁ、たまにはいいよなー。　って、俺、今まで病院食だったから、何でもいいんだよなぁ」 「病院食って味があまりないしな……。　それなら、確かに何でもいいから普通に食べたいって気持ち分かるわぁ」 「それと、久しぶりに酒も飲みたいんだけどー」 「ええね! たまには酒でも買うて行くか! 俺はビールがええねんけど……望は何がええ?」 「じゃあ、俺もビールにしとくかなぁ?」 「ほなら、ビールな! 退院した日なんやし、普通は退院祝いするもんやしな」 「まぁ、大したことで入院していた訳じゃないけどな」 「いやぁ、この日本において、銃に撃たれて入院する人なんて滅多にいないやろうしなぁ。　大したことやと思うで……」 「そうか? ま、そこは何でもいいや……」 　雄介は品物を籠に入れ、それをレジへと持って行く。 　久しぶりに買い物をし、荷物は更に増えたのだが、雄介は前と変わらず軽々と荷物を持ち歩き始める。 　流石に望はその荷物の多さに、荷物を持ってあげようと雄介に声を掛けたのだが、 「荷物少し持とうか?」 「ええよ。　たまには力を付けなぁアカンしな」 「まぁ、あ、そっか……」 　雄介は消防士を辞めてからというもの、かなり時が経っているのにも関わらず、未だに前と変わらずの逞しい体付きをしていた。 　それに気付いた望は、 「まだ、体鍛えてるのか?」 「まぁな。　勉強の合間を見つけて、気分転換に、腹筋や腕立てはやってんで……」 「そうだったのか」 「たまには体動かさないと体がナマってまうしな。　流石に体動かしてないと筋力も落ちてまうからもったいないやろうしー」 「まぁ、体力は落としてもらっては困るしな。　俺、体力無さそうに見えるけどさ、長時間の手術とかに耐えられているからな」 「でも、望の場合は鍛えておらんのやろ?」 「鍛えてはないなぁ。　ま、俺の場合はもう慣れだろうな」 「そういうことやろな……」