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ー平和ー105

 暫くして二人は自分達の家に着く。  望は家に着くと、リビングにあるソファに座り、再びソファで体を伸ばすのだ。 「やっぱ、病院なんかより家の方が落ち着くわぁ」 「そりゃそうやろな……せや、先に風呂に入って来てええよ」 「……へ? あ、ああ」  と望は答えるのだが、その言葉だと何か不満そうな言い方である。  望の本音は、きっと久しぶりに家に帰って来たのだから雄介と風呂に入りたいと思っているのだが、望の性格上、それをストレートに言える筈もない。  望は一息吐くと、前髪を掻き揚げ、顔を俯かせ少し考えているようだ。  そう、雄介と一緒にお風呂に入るには、どう雄介に伝えたらいいのかをだ。  その間、雄介は買って来た食材を冷蔵庫にしまったり、料理を作ろうと準備をしている。 ビニールの音や台所にある冷蔵庫の音がリビングに響いてきているのだから。  望はそんな中、思い切って立ち上がると、雄介へと近付き雄介のことを見上げ、 「な、俺達、久しぶりにこんな時間を過ごしてるんだよな? な、他にやることはないか?」  望には、やはりストレートに言葉を言える筈もなく、遠回しというのか上手く雄介に何かを匂わせる言葉を口にする。  そんなことを望に問われた雄介は少し戸惑うものの、どうにか望が何が言いたいのかが分かったのか、 「せやね……今日位はゆっくりしたいわなぁ、ほんでもってラブラブなことやイチャイチャな事もしとかないと勿体ないしな。 ほなら、待っておって……飯食うてから、一緒にお風呂に入ろうや」  その雄介の言葉に望はゆっくり首を縦に振ると、満足したのか再びソファへと戻り、今度はテレビを付け、ご飯が出来るのを待っていた。  それから暫くして雄介は望のことを呼ぶと、望はテーブルへと付く。  二人は顔を合わせると、笑顔になって手を合わせて『いただきます』と言い、ご飯を食べ始める。 「やっぱ、家で食べる飯は美味いよな」 「それに、俺が作っておるからやろなぁ。 恋人の為に作っておるから、愛の隠し味が入ってる訳やし……」  久しぶりの雄介の甘い言葉に望は吹きそうになっていた。

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