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ー平和ー106
「相変わらず、くさいことを言うんだな」
「くさいってなぁ……ま、ええやんか、ま、そういうことやしな」
雄介はそう望に向かい、笑顔を向ける。
雄介が大学に入学してから、もう三年は経っている。望達は三十歳を超えている為か、前よりも雄介の笑顔が大人びたようにも見える。 そう、何だか生き生きしたような表情に見えるのは気のせいだろうか。 こんなに恋人の顔を見たのは本当に久しぶりのような気がする。
「何かお前さ、前よりいい顔になったよな……」
「そうか? そうは思わないんやけどなぁ?」
「なんだろな? 前とは違う雰囲気になったっていうのかな?」
「そないなこと言うたら、望だって、そうやで……年取ったって訳やなくて、しっかりしてきたっていうんかな?」
「そうか?」
そう雄介と同じ答え方に、二人はクスクスと笑う。 久しぶりに笑顔が耐えない二人。
「本当に久しぶりだな……こんなにゆっくりな時を過ごすのはさ」
「せやな。 ホンマ、スマンな……今まで、望のことを構って上げることが出来なくて」
「仕方ねぇよ。 本当に医学部ってのは大変なんだからさぁ。 そのことを忘れていた俺も悪いし……俺も大変だったからな。 でも、俺も、色々やらなきゃいけないことが沢山あって、恋人らしいことは出来なかったんだしな。 ま、とりあえず、入院している間に、時間が沢山あったから、ある程度のことは終わらせたから、前よりはゆっくり出来るぜ」
「そういうことやな……ほなら、今度からは二人だけの時間を作ろうや」
「ああ、そうだな」
望はご飯を食べ終えると、食べ終えたお皿を台所へと置き、
「じゃあ、俺は先にお風呂に入ってるからな」
そう望は少し顔を俯け、雄介に告げるとリビングを出て行く。
流石に望の口からそんなことを言うことは恥ずかしかったのであろう。 だから顔を赤くした姿を雄介に見せたくなかったのかもしれない。
それに先に食事を終わらせ、お風呂に入っていた方が気楽なのかもしれないと思ったのであろう。
雄介も食事を終わらせると、望の後を追うようにお風呂場へと向かうのだ。
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