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ー希望ー1

 雄介が学校を卒業し、医師免許を取ったのは、まだ記憶に新しいことだ。  今日からは望が働く病院で、研修医としてスタートを切ることになっている。  元消防士だった雄介が、その何年か後にまさか医者になるとは、本人も思っていなかったことであろう。  そして望たちにとっても、夢への第一歩を歩み始めたところでもある。  今日からは雄介も望と同じく、医者になるのだ。  望は父親である裕二から、雄介用の白衣を受け取り、今、雄介は着替え中だ。  望と和也がソファで雄介が着替え終えるのを待っていると、 「こんなんでええか?」  そう問いながら雄介が更衣室から出てくる。 「ちょっと、キツい気がすんねんけどな……」  雄介がそう言いながら視線を上げると、望が雄介のことを見つめている姿が目に入ってくる。  視線が合う二人。  だが、それに気付いた望はすぐに雄介から視線を外し、 「あ、ああ、まぁな……」 「って、それって、どういう反応やねんなぁ」  雄介はすぐに突っ込みを入れるものの、今度は和也の方に視線を向けると、にやけた和也の顔が目に入ってくる。 「だーかーら、そこは簡単なことだろ? 望がお前にそう答えたってことがさ。お前の白衣姿にさらに惚れたってことだろうが……。ま、まぁ、ホント、そういうところ朝からアツいねぇ」 「ちょ! そ、それは、違うんだからなっ!」  和也の言葉に対して望はすぐに反応したのだから、和也が言ったことが本当だということだろう。 「って、言うけどー、望の顔真っ赤じゃん!」 「うるせぇ!」  望はそう言うと、一息吐く。  確かに望が雄介のことを惚れ直す理由が分かるような気がする。  以前のように見慣れた私服や消防士用の制服ではなく、白シャツに紺と緑が入ったネクタイ、それに紺色のスラックスを履き、その上には白衣を纏っている姿だ。  いや、雄介は何を着ても似合うのかもしれない。 「とりあえず……」  望は立ち上がると、雄介の白衣に手をかけ、 「初日なんだから、シャツのボタンは外さないのと、白衣のボタンも外すなよ……」  望が雄介の身だしなみを直していると、和也が横から口を挟む。 「うわぁー! 新婚さんみたいだな! 朝、仕事に出掛ける旦那さんを奥さんが身だしなみを直している感じだしな」

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