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ー希望ー17
そしてまもなくして焼き肉屋へと到着すると、車を駐車場へと止める。
「よっしゃ! ほなら、今日は焼き肉食うかんな!」
「ああ、まぁ、そうだな……」
二人が降りようとした間際、雄介は望の方へと顔を向けると、
「今日は何で焼き肉にしよう。って言うたか分かるか?」
その雄介の質問に望は首を傾げながら、雄介の方へと顔を向ける。
「さっき、望が言うてたやんか……。望は貧血気味かもしれないって……せやから、栄養がつくもんがええかなぁ? って思って焼き肉にしたんや」
「そういうことか……。一瞬でその判断が出来たんなら、今日はいいとするよ。それをこれからも仕事で生かしてくれたらベストだな」
雄介は車のドアを閉めると、
「ほんなら、やっぱ、俺のこと試していたんと違ゃう?」
「さぁな……」
「って、もう、隠さんでええやんかぁ」
雄介は望の後を追いながら言葉を発していると、急に望の足が止まり、雄介は望にぶつかり足を止める。
「……痛っ! で、いきなり足止めんねん……痛いやんか」
「あ、ゴメン。いやさ……今、気付いたんだけど、何かこの駐車場に見覚えのある車が数台止まっているような気がしてさ」
望はもう一度周りを見渡すと、やはり見覚えのある車が数台止まっているようだ。
「見覚えのある車って?」
「まずは和也の車だろ?」
「あー、せやね……。確かに和也の車っぽいわぁ」
「後は新城先生の車だろ?」
雄介は望の言葉に相づちを打つ。
「ほんでもって、後は朔望の車だろ?」
「あ、確かにそうやねぇ」
「まぁ、ナンバーは知らねぇから定かではないけどな。まぁ、少なくとも和也達は居るな。和也のナンバーは知ってるからさ」
「みたいやね……」
雄介達は焼き肉屋に足を踏み入れると、いつものように礼儀正しい店員が雄介達を出迎え、店員は雄介達を誘導しようとした時に望は、
「スイマセン。いつも僕達と来ている人も来てませんか?」
どうやら望はここの常連のようで、今日いた店員は顔なじみのようだ。
「はい、来ていらっしゃいますよ。同席にいたしますか?」
「はい、お願いします」
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