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ー希望ー29
「そうだな……。とりあえず二年間は俺がサポート出来るけどな。まぁ、その間に雄介には色々な科を回ってもらうから、例え雄介が他の科に行ったとしてもサポートは出来るしよ。それ以降、診療所に行ってからは雄介の判断に任せるよ」
望は車を家の駐車場に止める。
そして車を降り、家へと向かう。
望は二階に向かい、着替えを持つと雄介と一緒にお風呂場へと向かうのだ。
「スマン……今日は浸からせてくれへんか?」
「ああ。流石に今日は疲れたのか……。前にお前言ってたもんな……お風呂は浸からないと疲れがとれた気がしないって」
「まぁな……。とりあえず、風呂を溜めながら体を洗っておいて、ほんで、浸かるかな?」
雄介は頭からシャワーを浴び、体を濡らす。
雄介が消防士を辞めてから六年以上経つのにも関わらず、雄介の体はあの時と変わらず、未だに筋肉は衰えずがっちりとした体つきをしていた。
しかも雄介という人間は背が高い。だからなのか、シャワーを頭から浴び、前髪を掻き揚げる姿は画(え)になる。
そんな雄介に見とれながらも、望もシャワーを浴び、体を洗い始めるのだ。
「なぁ、雄介……お前さぁ、学校に行ってる間も鍛えてたのか?」
「まぁ、気分転換にストレッチとか、腹筋とか腕立てとかはしておったよ」
「だから、筋肉が衰えてないんだな」
「ああ。やっぱ、筋肉は鍛えておかんと、せっかく鍛えてきたのに脂肪に変わってもうたら嫌やったしな」
「確かに……まぁ、体力はあった方がいいしな」
「望も今日からやるか? とりあえず、風呂から上がったら軽くストレッチと腹筋とかはやるつもりやしな」
「ああ、やってみるかなぁ」
「まぁ、望の場合は、最初やから腹筋とかは十回位からやった方がええかもな」
「って、お前は何回やってんだ?」
「俺の場合は百回はやってんで」
「……百回!? そんなにやってるのか?」
「前まで普通にやってたからな」
雄介は体を洗い流すと、半分位溜まった浴槽へと浸かる。
そして一息吐くと、顔を洗いながら天井を見上げる。
「やっぱり、医者という職業は大変だろ?」
望も体を洗い終えると、浴槽へと浸かるのだ。
「思ってたより確かに大変やなぁ。レスキューの時は精神的にはそないに疲れなかったんやけど、体力的には疲れたたけどな。まぁ、医者は精神的にも体力的にも疲れてくるもんやし」
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