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ー希望ー28
雄介は助手席に座ると一息吐く。
「なんや、外食にして失敗してもうた気分やなぁ」
「失敗?」
「みんながおって、騒がしかったし、ゆっくり出来へんかったやろ?」
「そうかぁ? たまにはいいんじゃねぇの? みんなと話すのもさ……仕事場じゃ、プライベートの話とか出来ない訳だしさ」
「望がそう言うんやったらええか」
「……ん?」
望は雄介の言葉に一瞬、目を細める。雄介はその望の視線に気付いたのか、
「……へ? 何?」
と雄介は望に聞き返したのだが、雄介はその望の表情に何かを感じたのであろう。
「そういうことかいな……。なぁ、望の言いたいことは分かんねんけどな……プライベートは普通の俺で居させてくれるとええねんけどなぁ。今の望の顔っていうのは『望の意見に賛同するな』って事やろ? 自分の意見をハッキリ言えってことやろうけど……。仕事では、望の言う通り、自分で決断出来るように頑張るけど、プライベートはな……ええと違うの?」
雄介の言葉に望は一息吐くと、
「分かったよ。俺も仕事とプライベートは分けるようにしてるから……プライベートで仕事のことは持ち込まないが、仕事での俺はお前の指導医だから、言う時は言うからな」
「そうか……それで、仕事場での望はいつもよりキツい感じがしたのな」
「そういうこと……。プライベートの俺はこんな感じだけど……仕事場ではお前の上司だからな……そこはちゃんとわきまえるって事だな」
「それなら、良かったわぁ。今日の望見ておったら、性格が変わってもうたのか!? って思ったしな」
「仕事場での俺はあんな感じってことだ」
「ほんなら、プライベートは俺のいつもの俺でええってことで……今日は一緒に風呂入ろうなぁ」
雄介のその言葉に望はクスリとすると、
「そうだな……」
と頷く。
「どないしたん? いやに、素直と違ゃうか?」
「ん? 雄介がハッキリと言ってくれたからさ……だから、俺は素直に答えただけだ」
「へ? あ、そうか……確かそうやったな」
「前のお前はなかなかハッキリとは言ってなかっただろ? 俺の顔とかうかがいながらだったからな。まぁ、それを仕事でも出してくれたらいいんだよ」
「せやけど、まだ、俺は医者としては未熟ねんから、そこはサポートしてな……自信がついたら、自分で色々と決断してくし」
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