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ー希望ー27

「仕方ないですよー! こういう時は遠慮無しに颯斗に奢って貰って下さい」  実琴はそう言うと、和也の背中を叩くのだ。 「あ、ああ……まぁ、そうなんだけどな。 でも、なんか納得いかないんだよなぁ」 「とりあえずさぁ、新城が奢ってくれるって言うんだし、お礼さえ言っておけばいいんじゃねぇの?」 「お! それだ! 貸しを作ったみたいでさ。 確かに今日、新城と和解は出来たけど……なんかなぁ?」 「もしかして、和也は新城先生のことライバル視してませんか?」 「ん? ライバル……?」  和也と裕実は話をしながら店を出る。 「ライバルなぁ……?」 「和也は無自覚かもしれへんが……してんのかもしれへんなぁ? 前からアイツには勝てへんって言うとったやんか……」 「そうだったか? 勝てる、勝てないって言うとる時点でライバル視してるってことやろ? だから、和也は新城と和解出来ても納得いかへんと違う?」  そう真面目に言う雄介に、望と和也は目を丸くしながら雄介のことを見上げるのだ。  そんな二人の視線に気付いた雄介は、眉間を寄せ、 「って、二人共なんやねんって……」 「いやぁ、雄介にしては珍しいこと言うなぁーって思ってさ。 雄介は俺と同じ匂いはするなぁーって思っていたけど……根は真面目だったんだなぁーって思ってさ」 「和也の意見に賛成! 今の雄介は雄介っぽくないっていうのかなぁ?」 「望まで言うか……まぁ、学校で習ったっていうのか……あ、そういうの、人間分析っていうんか? 心理学っていうんか? ま、とりあえず、そういうの?」 「なるほどなぁ、それなら、雄介の今の発言納得だわぁ。 あ、そうか……そういうの学校で習ってきたのか……」 「まぁ、俺もなんか悔しいねんけどなぁ。 多分、俺の方も和也と同じ気持ちやと思うねんけど……」  そこまで言うと雄介は間を空け、 「俺は新城のことをライバル視まではしてへんけど、こういうとこで男が支払えないってのは悔しいねんなぁ」 「分かる! 分かる! 金が無くても奢って貰うってのがなぁ、なんかなーって思うんだって。 まぁ、いいや、気付いたら新城達先に行っちまったみたいだし、礼は明日にするか……。 んじゃ、明日なぁ」 「おう!」 「今日は望のこと寝かせてやるんだぞー!」 「分かっとるってー」  二人は手を振ると車へと乗り込むのだ。

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